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2014.06.22

西山太吉氏が語る「秘密保護法」を聴講しました。


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 2014年6月21日は、「西山太一氏(元毎日新聞記者)が語る秘密保護法」(主催西山太吉講演会を成功させる実行委員会)が、午後2時から4時までの予定で高知市県民文化・グリーンにて行われました。
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 生憎のお天気でしたが、私は家内と参加しました。主催者の発表では530人の参加者があったようでした。当日地元紙の記事に掲載された告知効果もあり、県西部の宿毛市や東部の安芸市からの参加者もあったと実行委員会は説明されていました。

 講師の西山太吉氏は、1931年生まれの83歳。慶応大学大学院卒業後、毎日新聞社に入社。経済部・政治部記者として活躍されていました。1972年の沖縄返還に絡む日米政府間の「密約問題」の取材と報道をめぐり、国家公務員法違反容疑で逮捕され、政治部記者の地位をはく奪され、青果業者で1991年まで勤務しながら、裁判や情報開示で国と争ってこられました。山崎豊子.著「運命の人」のモデルでもあります。

 2000年以降米国の公文書館で沖縄密約の事実が次々と明らかになり西山氏の取材の正当性が論証されましたが、国は謝罪も過ちも未だに認めていません。講演は敗戦後の日本の政治や社会に及び多岐な問題を提起されていました。

「沖縄返還交渉は佐藤内閣時代に、当時の米国大統領のニクソン氏と1969年頃に交渉されていました。沖縄基地の返還にともない400万ドルで米国側が出費するという話は表向きで、実は日本政府が肩代わりして支払う「密約」ができていました。

 当時わたしが入手した密約は氷山の一角に過ぎず、より大きな規模で密約は存在していました。」

「1998年から2000年にかけて米国公文書館で30年を経過した外交文書も情報公開されました。米国は情報公開の原則が貫かれています。日本はジャーなリズムとして私は当時それをやろうとして、逮捕され、社会的に葬られました。

 外交交渉にあっても30年後ぐらいには情報は開示されるという米国の社会は健全です。日本の秘密保護法がいけないのは、情報開示の期限を定めていないことです。国家(=官僚)が機密だと認定したことは、未来永劫開示されないことになります。」

「沖縄返還をめぐる秘密交渉自体が違法な行政行為であります。国会審議もなく、多くの国民も知らない間に巨額の税金が沖縄返還時に使われています。それは

1)米軍資産の買い取り 1.8億ドル

2)米軍基地従業員の待遇改善・給与所得の改善

3)沖縄米軍基地に設置されていた核兵器の撤去など 3・2億ドル などです。

 佐藤栄作首相は、核兵器の撤去と沖縄返還でノーベル平和賞を受賞されました。沖縄をめぐる密約があればこそでした。」

「国家機密とは何か? それは主権在民であり、国民の命と財産を守るために秘密は少なくし、原則公開が原則。それが民主主義国家の基本です。

 権力が一部に集中すればするほど、秘密事項が増え、役人が裁量で権限を拡大すると国民の知る権利は侵害されてしまいます。」

「戦後政治史を見ていますと、旧安保条約1951年と新安保条約1960年とは大きく性格が異なっています。旧安保は米軍の一時的な駐在を認める。当時の重光外相は12年以内に米軍は日本から撤退するべしとまで言っていました。

 新安保になると米軍駐在が前提になり、経費を全面的に日本が肩代わりし、米軍の後方支援(兵站)を自衛隊が行うようにもなりました。それは岸信介首相が米国CIAから資金を供与されており、アメリカ言いなり政権であったからです。」

「アメリカはことあるごとにアメリカの国益に沿い、日本に改革と称して押し付け政策をしてきます。この場合の密約はアメリカの言いなりです。1950年代の自民党の首相は、鳩山一郎首相は米国の反対を押し切り、ソ連との国交回復を行い、翌年国連に加盟しました。

 石橋湛山首相は、中国との国交回復を行おうとしましたが、病に倒れ2月の在職でした。14年後の1973年に田中角栄首相が日中国交回復を成し遂げた基礎は石橋湛山が築いたものです。」

「岸信介は冷戦時代でもあり、アメリカ一辺倒外交でした。当時はそれでも良かったのです。
 今の時代を見てみましょう。2000年にアメリカはアフガニスタンに介入し、2004年にイラク戦争を起こしました。結果はどうでしょうか?多額の戦費(350兆円)と犠牲を払いながらも成果はまるでなく、アフガニスタンのタリバン勢力はパキスタンまで拡大し、イラクでは内戦が激しくなる一方です。」

「アメリカは今厭戦気分です。クリミア問題で口では言ってもロシアに対して軍事行動はしませんでした。戦争で事が解決する時代ではなくなったのです。

 先日フランスのノルマンジー作戦70周年の行事にロシアのプーチン大統領が現れると、ドイツやフランス、イギリスの首相が相次いで握手し会談をしました。いまは冷戦時代ではありません。」

「世界の情勢は、異質なものと共存する方向へ向かっています。この間も中国とイギリスは巨額の貿易協定を結びました。ドイツは既にそれをしていて経済が好調です。フランスもしたがっています。日本は中国と対立する方向になっていおり、世界の流れと逆行しています。」

「日米同盟で中国の膨張を止めるなんて安倍さんは言っていますが、アメリカは全く乗りません。米中関係はそれこそ「戦略的互恵関係」なんですから。日本の尖閣のために米軍は日本を支援したりはしません。軍事行動はまずしません。戦争をする気も力もないのがアメリカなんです。」

「安倍政権だけが国際性の流れに逆行し、価値観を共有する国同士の同盟なんて言っている。それはイデオロギー外交。世界で日本だけです。そんなこと言っているのは。アメリカの国益は経済発展している東南アジア6億の市場の取り込みと、中国との経済交流なんですから。」

「そもそも集団的自衛権は歴代自民党政権が否定していたもの。1972年の自民党政府は個別的自衛権の発動はあっても、集団的自衛権を否定する政府見解を出しています。砂川判決は日米安保条約は憲法違反であると言う東京地裁の判決がでています。それらを安倍内閣は曲解し、ねじまげて説明しています。」

「どうしてそうなったかと言いますと内閣法制局や国家安全会議などは、「対米従属」「アメリカ一辺倒」の偏った考え方の官僚や学者の集まりです。国を誤った方向にリードしていますが、秘密保護法より、それも今後は隠されてしまいます。危険です。」

「問題なのは若い人たちが政治に関心を持たないことです。今日の集まりも見ていますと年配者が多い。でも横断的な活動で周りの人たちに呼びかけてください。多くの人が動けば社会は変わりますから。」

 なかなか力強い講演会でした。講演終了後「機密を開示せよ―裁かれる沖縄密約」(西山太吉・著・岩波書店・2010年刊)を購入しました。熟読して読書感想文を後で書きます。
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