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2015.03.23

ピーター・バラカンさんの講演会「思想としてのロック」


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2015年3月21日は、高知市文化プラザカルポートでのピーター・バラカンさんの講演会「思想としてのロック」に家内と2人で参加しました。

 高知は今回で4回目とか。アップルのPC2台を使用し、アーティストの画像を大画面で、音源を流してバラカンさんが説明する形式。ご本人は「出前DJ」と言われましたが、高知の片田舎で、「ロックの世界史」の講演を聴講させていただきました。

 ピーター・バラカンさんは1950年ロンドン生まれの現在65歳、12歳の頃から地元ラジオで、ジョンレノンやボブ・ディアランを聞き意識していたというからまさに「ロックの世界史」の申し子ではないでしょうか。

 まず最初にビリー・ホリディの曲の紹介。ぎょっとする歌詞を歌いこんでいる。当時の人種差別と女性蔑視を指弾する歌だそうです。

 サム・クックという黒人歌手も天才的な歌唱力があった人。殺害されてしまいましたが、公民権運動が台頭し、差別や迫害を長い時間をかけて克服しようという希望をもとうという意味の歌詞でした。

 アレサ・フランクリンもオーティス・レディングの「リスペクト」という曲をカバーし歌い上げました。世の中の女性、世の中の黒人が白人のリスペクトを自然に受けるような世の中であってほしい。2級市民として自他とも認めていた黒人市民に誇りを持てとの思いの歌でした。

 C・C・R(Creedence Clearwater Revival)も、ベトナム反戦の歌をつくりました。当時アメリカは徴兵制のもと、平均年齢19歳の若者たちがベトナムのジャングルに駆り出されました。ボブ・ディランと同じ時代性をもっていました。

 もっとも高度に発達した市民社会であるアメリカであっても音楽業界の経営者は営利を意識せざるを得ません。才気あるアーティストがみすみす「売れる見込みのない」、体制批判のメッセージ・ソングを公表し、レコーディングすることには大きな抵抗があったようです。でも志のある経営者も幾人かいて、日の目を見た曲や歌もありました。

 1960年代後半から70年にかけては、プロテストソングや、メッセージ・ソングも多かったようですが、時代が下り2001年のアメリカでの「9・11」以降はマスメディアの健全性を疑う事態になりました。マイケル・ハ―ティなどがその中でも気を吐いていました。

 ナイジェリアの「ゾンビ」という曲は実に不気味。バラカンさんによれば、アフロビートで15分以上の長い曲でイントロも長くなかなかボーカルに入らない。時のナイジェリア独裁政権を皮肉った曲だそうです。「ゾンビ」とは、自分の意志ではなく他人の意志で忠実に組織的に動く不気味な組織集団のことです。軍隊や警察を揶揄しているそうです。

 マスメディアの中立性と報道姿勢をバラカンさんは、市民はいつも精査しないといけないと言いました。1980年代のフォークランド戦争(英国VSアルゼンチン)の時に、時の英国のサッチャー首相が国営放送のBBCに対して「英国軍ではなく。わが軍と言うべきである。」と圧力をかけてきたそうです。経営陣は断固拒否しました。

 日本の放送局の場合はどうでしょうか?「とても心配」とバラカンさんは何度もトークのなかで言われました。

 日本のレゲイ音楽の歌手、ランキンタクシーという人がいます。反原発ソングをラップで日本語で歌っています。

 1989年のチェルノブイリ原発事故以来活動をされ、2011年の福島原発事故の後も路上・街頭ライブを中心に行っています。

 米国の比較的良心的な新聞と言われているニューヨーク・タイムズですが、広告が60%で編集記事は40%。どうしてもメディアは、スポンサーに対しては及び腰になりますね。

 日本のTVや大新聞もバラカンさんのご指摘のように、「政府広報」に堕していますね。

 ジョンレノンとボブ・ディランが60年代から親交があり、相互影響を受けていたと言うこともバラカンさんの話で納得しました。

 その他知らないアーティトのお話もたくさんされました。あっという間の2時間の講演でした。「ロック世界史」の授業を聴講した気分でした。

 「ピーターバラカンのわが青春のサウンドトラック」(ピーター・バラカン・著・2013年光文社刊)を購入しました。サインも帰り際していただきました。読書感想文はまた後日書きたいと思います。
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