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2015.05.06

高知地震新聞・大谷英人教授のコメントについて

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 私のFB投稿記事、4月21日付けの「震災後の高知市街の復興は実質不可能という私の記述に対して、大谷英人さん(高知工科大学教授(街づくり計画学))から、「西村さんへ 僕のところも、読んでよ!記事では、僕の話した全体が伝わらず、不十分なところがありますが・・・とのコメントがありました。

 そのことに関して私の私見を申し上げたいと思います。

 記者の都市計画や都市問題に関する知識が今一つであり、ずれた質問に大谷さんが回答に苦慮している様子は良く理解できます。そのなかで注目した発言は以下です。

「事前復興の計画づくりは決して特別な事ではない。平時から自治体がつくっている」「土地利用管理計画や都市計画眼スタープランの中で、復興をイメージした内容をしっかり盛り込んでいくことが必要だ。」

「高度成長期にスプロール化(宅地などの無秩序な拡散)したものを縮小し、コントロールしていく「引き算」のまちづくりが必要となる。」

「南海トラフ地震が起きれば高知市で大きな被害が出る。仮設住宅をどこにつくるのか、今から考えておかないといけない。・・・中略・・・。

 農地などを含め、必要なときは仮設住宅の用地として借りられるような契約を結び、固定資産税の減免を行うなどをして確保しておく方法もある。」

 大谷さんの発言で特に注目したのは、この言葉です。

「東日本大震災では、津波で沿岸地域の経済、文化が失われた。産業の再開に時間がかかると、地域経済がまわらなくなる。

 費用はかかるが、高さ3メートルの人工地盤を整備するなど、少しずつ土地のかさ上げをしていくことも事前復興の1つだ。」

 以前私は、香南市の清藤市長と、野中副市長に依頼して下知コミュニティ・センターで講演していただきました。題目は「立体換地から学ぶ下知再生の道」です。

http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-55c0.html

 高知県庁と高知市役所が本気で、海抜0メートルの高知市下知地域のかさ上げをしてくれるのでしょうか?

 大谷英人さんのコメントの右横にある県都市計画指針案から の記事の中に「市町村は被害を受けた地区ごとに、区画整理や高台移転も含め、どういった手法で復興を進めるのかを明記した街全体の復興計画をつくる。

 指針案には、住民の合意形成を円滑に図るため、平時から地区の街づくり協議会を組織して必要性も盛り込んでいる。」とあります。

 私たちは昨年8か月の議論をして、下知地域の各種団体(町内会・自主防災会・消防分団・PTA・社協・民協・交通指導団体・文化団体・企業などに呼びかけた地域コミュニティ組織である下知地域内連携協議会を結成いたしました。

 内閣府の提唱する「地区防災計画」を市役所側と協働して作成していきたいと考えていますが、肝心の市役所側の災害対策部幹部職員が、「全くやる気がなく」計画は全く進展していません。

 内閣府地区防災計画について

 http://www.bousai.go.jp/kyoiku/pdf/guidline_summary.pdf

 2015年度から本気で「高知市下知地域地区防災計画」を作成して行く予定です。地域住民の合意形成は、情報公開と市民参加の保証を確立して、長い時間をかけて討議していきたいと考えています。
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 しかしながら記事に図式化してある「震災後の復興作業の流れ」を見ますと、手際よく、わずか半年後に復興事業がスタートすることになっています。ありえるのでしょうか?
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 そのためには「地籍調査による境界策定」と「地区まちづくり協議会の組織化」が前提になっています。地籍調査が下知地区は完成しているのかどうかの情報はありませんし、せっかくこしらえた地域のコミュニティ組織を高知市幹部はさほど重要視しているようにありません。
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 とにかくあいかわらず高知市も高知県庁も、南海トラフ巨大地震が起きれば甚大な被害が想定される低地の市街地の市民の声など「聴く耳」を全くもっていませんから。

 現在の市役所の災害対策部幹部をわたしは信用できません。市民と真摯に向かい合う事をいとわない幹部職員に「総入れ替え」を願います。そうでなければ「絵に描いた餅」であり、行政との合意形成など絶対に未来永劫できないと思います。

 一方で企業はシビアです。2015年3月9日の日本経済新聞1面記事は、世界企業であるトヨタの震災復興計画はとてもシビアです。

http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-6770.html

 6日以内に製品供給体制ができなければ、取引を見直すという厳しい姿勢です。「ぬるい」県や高知市の「復興計画」では、世界企業と取引している企業は立ちいかなくなるからです。
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 既に企業の県外移転は始まっています。

 ですので、「最初から低地のかさ上げをして、立体換地で都市整備を行うか」「低地住民の旭や朝倉地区や、郡部の高台地区への集団移転」を事前にすべきでしょう。

 県人口は毎年5000人、高知市でも1000人規模で減少しています。空き家はどんどん増えていて、高知県の空き家率は高いと思います。

 罹災→避難収容所→仮設住宅→復興住宅・自力復興 ではなく、

 罹災→空き家入居→高台での市街地形成もしくは、立体換地による嵩上げ市街地形成 にすべきでしょう。

 「従来型」の復興計画では、たちいかないでしょう。企業は待ってはくれません。またこの種の都市計画や事前復興計画に関しても、高知市の低地の市民の意見は、いままでも反映されませんし、今後も反映されないものであると思います。

 結論は首長が本気で市民の命と財産を守る気があるのかどうかでしょう。わたしは「その気」があるとは到底思えません。

 「高知家」というキャンペーンを狂気のように税金を費やして、大手広告会社につぎ込んでいます。しかしその程度の事は他の県もやっています。効果は上がりません。

 高知市で水没する15万人の「命と生活」を守るために行政があるべきですが、高知県庁も高知市役所もその大命題には無関心です。やる気を全く感じません。

 では具体的になにをすればいいのか?それはかつての同和行政のように、横断的な「南海トラフ地震対策部」をこしらえ、防災・経済・福祉・教育・都市建設・都市計画部署を統合してこしらえるべきでしょう。高知県庁や高知市役所もです。

 それが出来れば「本気度」を認めましょう。

 大谷英人先生のコメントに対する、わたしの個人的な意見は以上です。

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