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2015.09.23

「疲れすぎて眠れぬ夜のために」を読んで

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 「疲れすぎて眠れぬ夜のために」(内田樹(うちだたつる)著・角川文庫・・2007年刊)を読みました。古本で高知駅前のブックオフで108円で購入しました。

 精神的に疲れているので、題名に魅かれて購入しました。

 内田樹氏独特の価値観が表現されていて、面白い。
見出しを羅列するだけで、筆者の思想が垣間見えるからです。

「ワンランク下の自分に」

「サクセスモデルの幻想」

「ビジネスとレイバーの違い」

「勝ち組、負け組ということばはさもしい」

「交換は楽しい」とあります。

 「ワンランク下の自分に」という項目ではこう述べています。

「欲望の充足ラインを低めに設定しておけば、すぐに「ああ、なんという幸せ」という気分になれるでしょう。「小さくはあるが確固とした幸せ」(@村上春樹)を1つ1つ積み重ねてゆくこと、それが結局「幸せ」になるための最良の道だと思います。」

 程よい目標で達成感を味わうことは、悪いことではない。それでいいのだ。がむしゃらに高い目標設定して自分を追い込むことだけが人生ではない。そんなことで苦しむのはもったいないと内田氏は言います。

「人間と言うのは、強いけれど弱い。がんばれるけれど、がんばればその分だけ疲れる。無理して先払いしたエネルギーは、必ず後で帳尻合わせるために回収される。この当たり前のことを分かっていない人が多すぎると思います。」(P14) 

内田樹氏は、単なる知識人ではありません。武芸家としての側面もあります。

「どうして、武道のような殺傷技術において、「身体の内側を見つめる」というような観想的な稽古が重視されるかと言うと、それが身体感受性を高めるために最良の訓練だからです。」(P134)

「危険感知能力や気の感応力は人間が生物として生きのびて行くために必須の身体能力ですが、現在の学校体育にはこのような能力を開発するためのプログラムはありません。」

 内田氏は学生時代は体育は苦手だったとか。しかし武道はやりたかったとか。

 「子供の頃、ぼく自身ものくの廻りの誰1人、ぼくのなかに未開発の能力が豊かに蔵されていることに気づかなかったのです。

 だからぼくが世界中の「運動神経の鈍い子」に言いたいのは、もし、君の肉体が何だかわからないが、ある動きを求めてうずくことがあれば、それは未開発の身体能力が呼び起されることを求めているのだ、と考えてみるといいよ、ということですね。」(P148)

 なるほどと思いますね。わたしも運動神経の鈍い子供でした。自転車も水泳もできるいようになったのは小学生高学年。幼少時にやるべきであった運動や遊びを父の都合で小学校を5回も転校したことも影響はあったことでしょう。

 でも32歳の時にヨットに魅かれ、全然技量は上達しませんが(たまにレースへ出ると最下位)30年も継続し、冬場にもセーリングするのはやはり、体のどこかが讀んでいるからでしょう。危機管理能力はアップしたように思いますから。

 また今の世相を予言したようなことを言われていますね。

「左翼の理論は戦前の政治的、文化的運動をほとんど切り捨てますし、右翼の理論は戦後の達成をほとんど評価しません。それぞれの政治理論としてすっきりはしていますが、説明原理にはなってはいません。

 だって説明できない事例が多すぎるからです。そんな偏った理説では、次の世代に対する指針を示すことだってできません。」(P196)

 そしてめざすべきことも内田樹氏なりにまとめています。

「日本人の歴史的経験の中に蓄積されているもののうち、できるだけ多くをカバーし、かつ「すっきりした」日本人像を描けるような物語。

 封建時代も明治維新も大正デモクラッシーも昭和モダニズムも軍国主義も戦後民主主義も極左の学生運動もフェミニズムも、左翼から右翼まで、都市文化も地方文化も。

 メインストリームもサブカルチャーも、全部の政治的、社会的、文化的な思潮を包括的に説明出来しえて、日本社会の「個性」を網羅的に包括することができれば、それは日本についての「うまく妥当する」社会理論であると思います。

 でも、今の社会理論の中に、そこまで包括的なスケールのものはありませんね。そういうスケールを持っていないだけでなく、そういうスケールの大きさを持たなければならないという使命感を感じている「確信犯的」な社会理論はめざされていないような気がします。」(P195)

 わたしがこの4年来こだわり続けている「連合赤軍と新自由主義の総括」なるものは、多分その程度のスケールで考えないと総括できないということがわかりました。

 108円できちんと読書できたことに感謝です。

 

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