無意味な横穴式地下シェルター
2015年9月5日の高知新聞1面記事には驚きました。
「津波「横穴」避難模索続く」「室戸年度内に完成」「扉閉鎖いつ判断?入れなかった人は?」という見出しがでています。
記事に寄りますと、この施設の対象人口は32世帯で56人。事業費は3億1千万円であるとか。対象人口が少なくても、この施設で対象集落の人達が全員生存し、「命を守る手段」として機能するのであれば、私は異論は言いません。
しかしながら「足が悪うてシェルターまでよう歩かん。家の裏にある避難路に逃げることにしちゅう・」(79歳の女性)。という疑問の声も。
一方で「すねが悪いき、山へ上がるよりは(横穴へいる方が気が楽や。」(87歳男性)の賛同する声もあるようです。しかし地元自主防災会のリーダーは困惑気味ではないか。
「対象住民が全員避難できるとも限らん。入口を閉める人を決めちょっても、その人がその場におらんン場合もある。難しいですよ。何度も訓練して、みんなが納得できる運用を話し合っていかないといかん」
記事の内容から推論するに全く「地元要望」でこしらえている県事業ではないようです。地元要望なら自主防災会のリーダーの発言はありえないからです。と言うことは、全く尾﨑正直高知県知事の独断と思い付きからの南海地震対策ではないですか。
3年ほど前は「地下室シェルター」方式への執着でした。どうやらそちらは諦めたようですが、執拗に「横穴ー立坑シェルター」に執着しているようです。
この地域は南海地震の震源に近く、地震発生後数分で津波の第1波が来ると言われています。それだけにこうした方法も検討の余地はあるでしょう。住民の意向も県庁は聞くべきでしょう。
さて2万人が海抜0メートル地帯で暮らしている高知市下知地域。県庁は僅かに耐震護岸工事をやっているだけ。
「ドライエリアへいつ移動できるのか?」「それは一体どこなのか?」「いつ下知地域はドライエリアになるのか?」「応急仮設住宅へいつ入れるのか?」と県庁や高知市役所の防災部署へ問い合わせしても、未だにきちんとした回答は得られません。
高知市街地は低地で、15万人が居住しています。その地域には商工業も集積しています。15万人が1人の死者も出さない南海地震対策を、尾﨑正直高知県知事は真剣に検討したらどうだろう。
高知市下知地域へ来られ、現地を歩き、住民と対話をしていただきたい。「机上」の南海地震対策では住民は救われないし、地域も再建できないからです。
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