「聞く力」を読んで
「聞く力 心をひらく35のヒント」(阿川佐和子・著・文藝春秋・2012年刊)を読みました。新刊本で出版された時購入しようかと思っていたら、忘れ、駅前のブックオフで、200円プラス消費税で購入しました。
阿川佐和子さんとは同世代。よくインタビュー番組をされておられ、「聞き上手だな」と感心していました。あれこれ質問することよりも「相手が言いたいことをうまく引き出せる力があるひとであると感心していました。そのなかの一節でとても感心したコーナーがありました。
ロック音楽に関するインタビューと言うことで対談相手は、聖飢魔Ⅱのデーモン閣下。阿川佐和子さんは「今更聞けない質問」を果敢にしています。
「あの 、ヘビメタってなんですか?」
すると、驚きましたよ。デーモン閣下は親切!しかも説明がお上手!わたしのようなロックシロウト相手に、それはわかりやすく教えてくださったのです。
「ハハハ、ロックというのは、わかりますね?」
最初に私に優しく断りを入れてから、こんなふうに話してくださいました。
「ロックがいろいろな枝葉に分かれて行く中で、速さと激しさを追求したものをハードロックというんですね。♪ガンガンガンガン、ガガーンガーン、タターンタンタ、バーンバーンバーンという感じ」
「ほうほう」
「じゃ、速くて激しければ全部ハードロックなのかというと、そうでもなくて。そこからまた枝葉が分かれていって。速くて激しいけれど、ドラマテックであったり、仰々しい決め事を取り入れる。
たとえばクラシック音楽のワンフレーズを持って来て、あるポイントに来たら全員がちゃんと、♪ダダダダーンみたいにベートーベンの「運命」のメロディをぴったり合わせる。そういう様式美というんですけどね。」
「はあ~」
「簡単に言うと、様式美の要素を入れないと、ヘビメタルとは認定されないんです。ハードロックに様式を持ち込むと、」それがヘビーメタルになるというわけ」
「そうかあ。ヘビメタって知的なんだ。もっとハチャメチャな音楽かと思ってた」
「ハチャメチャなのはパンク。速くて激しいけれど、♪うまく歌ってたってしょうがないじゃーん。上手に歌うことになんの意味があるんだ~、ってのがパンク。だけでヘビメタルは上手でないと駄目なの」
これは開眼でした。ロックにそういう区分けがされていたとは初耳です。確かにその前夜「聖飢魔Ⅱ」のCDうぃ聴いて、驚いたのです。閣下は歌がうまかった。その上手な歌を聴いているうちに、。もう1つ疑問に思ったことがありました。まるで優秀な家庭教師のように教え方が上手な閣下の優しさに漬けこんで、私はさらに質問します。
「CDを聴いていて思ったんですが、こうしてお話しているデーモン閣下はものすごく低音のダミ声なのに、歌っているときの閣下の声は、ボーイソプラノのように高くないですか?どうしてなの?」
するとこの質問にも明快な答えが返ってきたのです。
「それはね理由がありんです。あれだけの轟音で演奏している中で、低い声で歌うとぜんぜん聞こえないんですよ。高くないと声が通らないから、だからヘビメタのボーカルはみんな、必然的に高い声で歌うようになったんです。」(P125 17素朴な質問を大切に)
ロックを分類したホームページを見ますとなるほどそのとうりです。
http://rock-cd.info/contents/rockcategory.html(ロックのカテゴリー)
質問には「今更聞けない」ことも世の中たくさんありますね。
たとえば「戦争法案はなにがいけないのか?」や「マイナンバー制度はよくわからない。国民になにか特典があるのか?」「原子力発電はどうして是非がもんだいになるのか?」などですね。
1000人に面談し、それぞれの専門分野の異なる人と対談を続けることはなかなか出来ることではありませんね。
しろうとながら2003年4月から2006年3月まで「けんちゃんのどこでもコミュニティ」という超ローカル番組をコミュニティ放送局で企画し、実際に制作し、その対談結果を自分でホームページにもしましたから。私個人の拙い経験からも阿川佐和子さんの「会話力」「聞く力」の凄さが良く理解できました。
けんちゃんのどこでもコミュニティ(アーカイブ・サイト)
http://www.nc-21.co.jp/dokodemo/
全く無報酬でやってましたね。得られた教訓は「人にはいろんな立場と考え方がある。きちんと相手の意見や考え方を正確に聞いて、質問することでより相手の言い分を聞きだすこと」の訓練をさせていただきました。
多少多様な意見が聞けるのは、3年間の経験が私にあったからでしょう。今となっては小さな狭い300m四方の町内での減災活動やコミュニティ活動にとても役立っています。その実践からも阿川佐和子さんは凄いと思いました。
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