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2015.12.03

減災エンス塾を聴講しました。

 2015年11月23日は会長からの案内もあり、「減災エンス塾」へ行きました。

 減災エンス塾は、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の主催で定員が20人。事前申し込みが必要とありましたが、席がなければ片隅で聴講できればの想いで、雨でしたので電車で行くことにしました。

 そしたら電車で坂本茂雄さんや横田政道さん、大崎修二さん達に会いました。「高知大学朝倉キャンパスでの耕活(災害食自給活動・市民農園づくり)に行かれるとか。

 会場は城西公園北側にある寺田虎彦記念館。高知にゆかりのある物理学者であり、夏目漱石の弟子で文学者でもあった人。風情のある和室での講演会でした。その会場には、中岡久幸さんや宮本哲夫さんも来られていました。
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 講師は金田善行氏(名古屋大学・特任教授・減災連携研究センター)でした。金田氏は3年ほど前にJAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の研究員時代に、」高知市下知地域をまち歩きをされ、TBS系の番組「夢の扉」に出演されていました。確かスーパーコンピューターを屈指し、被害予測を行い、減災に役立てると言うものです。

 さて講演ですが、スーパーコンピューターを屈指し、ビックデーターを活用したものでした。大きな話から入りました。巨大地震は環太平洋周辺で発生しています。近年北米大陸沿岸部の巨大地震の発生がないのは不気味であるとの事でした。
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 4つのプレートがぶつかり合う日本列島周辺では、地震活動が盛んであり火山活動も盛んである。過去の地震・噴火の記録でも。30年ぐらいの間に東北地震・首都圏直下、内陸型地震・南海トラフ地震・火山の噴火が連動していました。
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 昔の人は大災害の記録を錦絵に残し、石碑に刻み、後世の教訓としていました。
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 南海トラフ巨大地震でこれまでにわかっていることは、「1・100年―200年間感間隔で繰り返し発生」「2・これまで知りえる限りでは、地震規模、発生パターン、発生感覚は異なる。」「3・東南海地震、南海地震はサイクル内で連動」です。

 わからないことや課題は「4・次の南海地震規模や発生パターンは分っていない。」「5・備えの重要性、緊急性」

 広域が連携した地震の研究は不断に行われています。南海トラフ地震発生サイクルシュミレーションは繰り返し研究されています。

 ある地域をモデルにした3次元津波襲来シュミレーションも作成されています。
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 高知市の3次元津波シュミレーションも試作はされています。はりまや橋交差点の南から津波が押し寄せてきます。交差点を西に堀詰、大橋通、県庁前まで津波が寄せて来ます。画像が鳥瞰され、高知市の中心街から東部が水没しているようになります。
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 「大規模シュミレーション」では、中心市街地(低地の)にいる10万人が地震発生後高台(北の山)、筆山、五台山、高知城山へ、どのように避難するかがビックデーターを屈指して表現されています。
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 海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、南海トラフ地震の被害軽減を目的に、地震・津波の早期検知を可能にする「地震・津波観測監視システム(DONET)の整備をすすめています。それにより予測をたて、支援に入る自衛隊や消防などが支援ルートや、支援方策を既に研究しています。
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 津波を即時に検知する能力を向上させる技術の向上も必要です。

 南海トラフ巨大地震の被害を低減化するためには、調査活動や、複合災害のシュミレーションも必要ですが、それを担う人材の育成も推進しなければなりません。それと同時に社会システムの構築も必要であると金田氏は言われました。
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「個別最適の適応が全体最適とはなりません。企業全体が最適化される状態にされないといけない。」

「幅をもった社会システムの構築が必要である。」

 具体的には

1・冗長性・代替え性をもった対応手段。(どんな状況でも対応できる仕組み作り。バックアップ体制の構築)

2・何が起きても致命的な破壊に至らないしくみづくり

3・粘り強く復元可能なしくみづくり

4・融通が利き順応性を持ったしくみづくり

5・安全・安心を与えるくれるしくみづくり である
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 高知県庁や高知市市役所の災害対策や減災対策は「まったく程遠い」ものです。安心・安全など全くないと言っても過言ではありません。100点満点で言えば20点程度ですね。

 金田氏は「減災科学の概要」として、理学、工学・土木・医学・薬学・地学分野以外に、教育学、心理学、法学、文学、社会学など人文科学系の導入も必要であると言われました。

 それは地域の復旧復興能力は、人の活動が大事であるからです。そして事前対策の必要性も強調されました。

「事前対策と人材育成は、被害の軽減、復旧復興の近道」であります。
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「天災は忘れたる頃来る。日本は地震・津波・火山噴火多発国であり、忘れなくてもこれらは必ず発生する。

 そのため、備えの減災科学の進展、国土強靭化の推進が必要不可欠である。」と述べられました。2時間の講義はあっという間でした。

 DONETという研究が進展しており、かなりの精度で南海地震の概要が解析されるつあります。やはり大事なのは事前の対策。それを個人でも地域でも、企業でもどう実行して行くのか。それが課題であると思いました。参考になる講義でした。
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太平洋から浦戸湾を経由して高知市下知地域に第1波が来るのが地震発生後30分とされています。このシュミレーションでは、津波が来る前に下知地域は地盤が沈下し水没しています。さてどういう対策が考えられるのか知恵の出しどころですね。
 

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