イプセン 民衆の敵を鑑賞しました
2016年4月16日は午後8時から、高知市南金田町にある多目的ホール蛸蔵で上演されました「イプセン 民衆の敵」(演出・藤岡武洋氏)を家内と2人で観劇させていただきました。
FBでの友人である藤岡武洋さんからご案内があり、私も家内も演劇を見るのはそれこそ東京時代の学生時代(40年前)以来でしたので、行きました。
会場で渡されたパンフに藤岡武洋さんはこう書かれています。
「個人と言う意識に目覚めた人民が社会に参加して行くには様々な問題(夫婦・家族・経済・道徳・宗教・人権。差別・・・)を解決してゆかねばなりません。これら普遍的な問題は、社会が複雑・多様化するほど鮮明に大きく浮き上がります。」
「イプセンはこの戯曲を喜劇としています。場面場面、立場立場で考えが、言質が変って行く。何が正義か、誰が正義か。人間と言うものは問題に向き合おうとすればするほど必死であればああるほど「喜劇」なんでしょう。
チラシにのせたあらすじを思い出してください。驚くほど現代の日本に通じていませんか。
中略・・・。
私やシアターTACOGURAは、たとえ喜劇と笑われようと社会に向かいあいたいと思います。」
観劇後の感想は、「常にありえる話である。」と思いました。
原子力発電所や原子力施設が立地している自治体は、「原発交付金」で自治体の経済が潤っています。その地域の雇用も経済も原子力発電所や施設に依存していて、反対の声をあげればまちに住むことが難しい状況にあるようです。
福島第1原子力発電所の大きな災害が起き、未だに10万人の人達が遠隔地に避難しているのに、「何事もなかったように」平気で原発を再稼働させようとします。これほど熊本県で地震が群発しているのに、すぐ近くにある川内原発は操業停止を一切しません。
その「非常識」ぶりには驚くばかりです。
演劇の力は凄いものがありますね。上演後の説明や対談で藤岡武洋さんは、「イプセンはノルウエーの劇作家。人形の家が有名です。日本へ入ってきたのは今回上映した「民衆の敵」が最初でした。ちょうど自由民権運動や、足尾鉱毒問題などがあった頃に明治の日本社会であっただけに入って来ました。
演劇はプロパガンダに利用されます。時代を超えて訴えることも出来ます。」と言われました。
110分の上演時間でしたが長くは感じませんでした。机と椅子を置いただけの舞台セットに、映像で1場面、2場面と変わります。場面が変れば登場人物の自己主張も変わります。「民衆の味方」「民衆の敵」という概念が、人々の立場立場で豹変し、変動する有様が描かれていました。
少数派の孤立感、焦燥感も描かれていました。イプセンは1882年頃の人ですが、124年前の社会と現代も変わりのない現実を思い知らされました。
観客も20代から40代前半の「現役世代」の若い人たちが大変でした。アンケートの年齢を記入する欄の上限が「50代以上」でひとくくりにされているところが、現実です。
一方で仕事と超高齢者の両親の在宅介護の合間にやっている地域減災活動は、この劇場に殆どいなかった「50歳以上の」60歳代、70歳代、80歳代が主体です。
熊本の地震災害を観察してもそうですが、大災害は全世代に関わりのある問題です。私たちの取り組みは、昨夜いた若い「現役世代」の若い人たちに殆ど伝わらない。一方で現役世代の人達は、地域社会で殆ど基盤を持っていない。(あるとすれば子供を通じた学校PTA程度。子供が卒業すれば地域との縁はまた切れます。)
どう世代間を繋げばいいのか。模索しています。
下知地区防災計画づくり=事前復興計画づくり(まちづくり)を本気で担うためには何が出来るのか真剣に考え実行しないといけない。
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(内閣府地区防災計画フォーラム)
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