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2017.05.14

「まちづくり私史」を読んで

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 「まちづくり私史」(大谷英人先生の退職をお祝いする会事務局・2017年・刊)を読みました。他ならぬ大谷英人さんから送付いただきました。建築学がご専門。遠い昔の高知青年会議所時代に、若竹まちづくり研究所所長の立場で交流が少しありました。

 最近では地域防災の立場で高知工科大学教授として少しアドバイスを頂いたこともありました。かすかなご縁でしたが、冊子を送付いただき、読ませていただきました。

大谷さんが学生時代の出来事も書かれていましたので、わたしも長らく仕舞い込んでいた学生時代の想いを総括していました。

 私の個人ブログでは「連合赤軍と新自由主義の総括」というカテゴリーで数年前から書いていますが、なかなか出来るものではありません。自分の意識より現実の社会の変化が早いからです。

私は文系の人間であり専門的に建築や土木、都市計画の学問を勉強したことはありません。ただ社会運動に関わっていましたので、パリ・コンミューンについては、市民各位が「まちづくり」の在り方を議論している最中に、反革命勢力に攻められ壊滅した姿に興味がありました。

 「規律正しい前衛党がなかったから負けたのだ。」というレーニンの党独裁主義的な総括は新旧左翼もしていますが、私には全くなじめません。連合赤軍事件や凄惨な内ゲバは、「偏狭で、他人の意見を聞こうとしない生真面目な人間が陥る落とし穴」のように思えます。

 「都市計画の計画策定段階からの市民参加が必要であるし、権限と責任を持たないと真の市民自治とは言えないのではないか。」とわたしは常に思います。


 そういう意識を底流に持っていて、JC(高知青年会議所)時代の都市再開発セミナーを3年間(1990年から1992年迄)やってきました。その後長いブランクがあって、現在地元下知で地域防災に取り組んでいますが、「まちづくり」の視点がなければ、防災・減災はできないと真底思っています。

 大谷さんご自身も大学時代の」全共闘運動のとん挫や、その後の内田雄造さんとの出会いや関わり、磯村英一さんとの関わりや、各地域での被差別地区環境整備計画策定の中で、独自に市民主体の「まちづくり」を実践なさっておられていました。「まちづくり私史」を読ませていただいて、理解することが出来ました。

 「ワークショップ手法等を取り入れた「まちづくり手法」及び市民参画」(P96)は、全くそのとうりであると思います。

「行政が、住民に対して開催する説明会は、参加者からの質問に行政が堪えると言う一方通行といった会が主になっており、説明会には、参加住民と行政との協働の作業は含まれていません。」

「また、住民同士が集まって「まちづくり」の会議を行う場合でも、通常は住民のなかのリーダー層が会を主導し、予め形式化した会議が多いと言えます。」

「まちワークは、地域住民の会議をこうした形式から開放し、全ての住民が協働作業を通じて、まちづくりに積極的に参加する機会を提供します。
 またワークの核心は、新しい社会的コミュニケーションの世界が開かれたところにあります。市民と行政の間の壁、市民相互の間の壁が、「まちワーク」によってあっけなく乗り越えられます。

 このことが、それぞれの主体の間にあったワダカマリや消極的な姿勢を見事に溶かし去り、自由で創造的な試みを誘い出すことがしばしばです。

 そして、行政にとっても、住民にとっても,両者の円滑なコミュニケーションを可能にすると共に、参加の成果が内容豊かなものとなりうることを実証してきました。」(2「まちワーク」が新しい社会的コミュニケーションの世界を開く」P98)

 1990年から92年まで高知青年会議所で継続した「都市再開発セミナー」の種本の1つは 「都市開発を考える アメリカと日本」(大野輝之・レイコ・ハべ・エバンス・著・岩波新書・1992年刊)です。

 そのなかで「市民参加の梯子段」というアメリカの社会学者の理論を解説していました。

「 そして「市民参加の梯子段」として私がよく引用する「参加の梯子」についての説明も改めて読みました。
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「住民参加という概念を「参加の梯子」によって明快に定義したシェリー・アーンステインは、この概念の持つ問題点を次のように表現している。

「住民参加」はほうれん草のようなものだ。皆これは自分にとって良いものだと知っており、誰も真っ向から反対はしない。(中略)だが、いったんこれが「持たざる者」を含めた人々への権力の再配分を意味することになると、ありとあらゆる見地から反対が唱えられる。」(P102「真の住民参加」)

「アーンスティンによると、住民の参加とは住民に権力を与えることだという。また権力のともなわない「参加」はなきに等しいともいう。

 住民が住みたいと思い、こうあるべきだと考え都市を創っていくという目標を実行する力が与えられている、ということが真に「住民参加」のある都市づくりだというわけである。このような住民の力(権力)の度合いを大雑把にいって8段階に分類して説明しようとしたのが、アーンステインの「参加の梯子」である。


 最も最上段の住民権力が最強で、住民がコントロールを握ってその目標を果たしえる状態である。反対に、最下段は住民は都市づくりに対する彼らの目標を果たすに必要な権力は何一つ与えられない状態である。

 権力者たちが世論捜査の部として、意味を曲解したまま「住民参加」とか、たとえば、すでに権力者側が決定した事項を黙認する役割しかない形だけの諮問委員会に、住民を任命することである。

 日本の都市を「参加の梯子」ではかれば、そこに位置するのだろうか?」(P194)

 引用が長くなりましたが、地方権力を掌握することこそが、真の住民参加なのです。そうした問題意識はこと高知市や高知県の役人も市民も皆無です。

 大谷さんの言われる「まちワーク」によるまちづくりの事例は高知にありますか?特に高知市の場合はいかがでしょう。今私たちの下知地域では「地区防災計画」を2年前からやっています。テーマは「事前復興計画」です。

 事前復興まちづくり について

 109Pに「事前復興まちづくり」の記述があります。高知卸団地に提案されたたそうですが、実現しそうでしょうか?人工地盤の再開発の計画ともあります。

 私どもも「浮体式人工地盤」を考案しました。地震後すぐに浸水が始まる下知地域では、高密度発泡体を使用した浮体式人工地盤を県と市に対案しましたが、全く検討していたけません。

http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/cat52378328/index.html

 また立体換地による低地に耐震高層住宅を建設する。自分の土地建物とマンションの1室を交換して地域の安全安心な再開発はできないものだろうかとも考えました。こちらも足踏み状態です。

http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-47ac.html

 国土交通省の「スーパー堤防」構想がまだ生きているのであれば、下知地域で導入は可能でしょうか?検討してみたいと思います。

https://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E5%A0%A4%E9%98%B2-170228

 5月14日に国土交通省の四国地方整備局主催の[高知港海岸直轄海岸保全施設整備事業着工式典」があります。地元下知住民の代表として出席予定です。

 耐震堤防つくることは反対しませんが、自分たちの住宅や職場は依然として海抜Omにあります。脅威が低減するわけではありません。

 また現在高知市は「4つのまちづくり」がばらばらに展開されています。

 現在高知市では縦割り的に「4つのまちづくり」が、展開されています。重なるところがあるのに何故一緒になってしないのでしょうか?


1)地域コミュニティ推進課の

  「コミュ二ィティ計画」があります。地域内連携協議会があります。


2)福祉の関係のまちづくり(福祉関係部署と社会福祉協議会)

「私たちが市と一体的に立てた地域福祉活動推進計画の中でうたっている「誰もが安心して暮らせる支えあいのあるまちづくり」があります。


3)コンパクト・シティ計画(都市計画課)

 都市機能の「立地適正化計画」がある。
 高知駅前・旭駅前・朝倉駅前に集約・集積するという考え方で都市計画。

4)下知地区防災計画(事前復興まちづくり計画)地域防災推進課と下知地域  住民との協働。

 それぞれが活動をしていますが、ばらばらです。一緒にやれないものでしょうか。

 地区防災計画という事だけですと「防災」のことだけに特化したように受け取られます。「事前復興まちづくり計画」としたいと私は思っていますが、少数派なので意見が通りません。


 本年度の下知地区防災計画第1回検討会は、6月22日午後6時半から、ちより街テラス3階会議室で開催されます。

 現在わたしは、小さな商いをする傍ら、超高齢の両親(父97歳・母91歳)を家内と2人で在宅介護しています。その合間に自宅まわりの地域防災活動をしているだけです。

 海抜0メートル地帯で毎日寝食し、生活し、働いています。海抜0から2M以下の低地の市街地に高知市では12万人が居住し、働いているのです。

 何をさておき最優先の課題であると思います。行政側は「勝手な計画」を上から押し付ける従来手法だけではなく、住民声や不安をきちんと聞き取り、活用していただきたいです。そのためには行政と市民との信頼関係の構築がなにより必要です。

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