母は毎朝コーヒーを入れてくれます
アルツハイマー型認知症と母(92歳)が認定されて今年で10年目です。にこやかに他人様と会話ができても、誰と会話したのか、何を話したのか全くわかりませんから。
朝食時のコーヒーを入れてくれるのは母のお役目です。いつもの会話です。
私「お婆さんコーヒーを入れてもらわんといかんけんど」
母「そんなことしたことないきに、入れん。」
私「毎日コーヒーを入れてくれているので・・、。」
と言い、お湯を沸かすポットとコーヒーカップを母に渡しますと、「スイッチ」が入ります。コーヒーカップに2杯の水をいれます。ガスの元栓を開け、ポットを置きます。
私「お婆さんフィルター。」と言います。
母はコーヒーフィルターをドリップに被せます。
私「コーヒーをスプーンで2杯入れて」と言いますと母はスプーンで2杯分のコーヒーをフィルターで覆われたドリップの中に入れます。
私「お婆さん グローブ」を言いますと、鍋つかみを右手に入れます。
ポットのお湯が沸騰しますと、母は鍋つかみでポットを1度流し台の上に置きます。私が蓋抑えのためのチッシュを渡します。
母はコーヒーの入ったドリップの上にポットの熱湯を注ぎます。すべて注ぐと役目はお終いです。
あくまで母の場合ですが、最初は「コーヒーを入れて」と言いますと、私は入れたことがないと拒否します。そこをやんわりと「お湯を沸かさんといかんきに」とポットとコーヒーカップを差し出しますと母にスイッチが入ります。
コーヒーフィルターを出しますと、複雑に折り、ドリップに綺麗に被せます。
母の場合の認知症はところどころ忘れています。忘れた箇所をケアしてあげれば、の残存している記憶で動き、コーヒーを入れてくれます。
つまり母の認知症は「断片をつなげば、昔どうりの動作は可能」であります。
でも認知症は人それぞれ、個性があります。
東京五輪の前後に母は叔母の貸店舗を借りて喫茶店を開業していたことがありましたから。それを思い出しているのかもしれないですね。50年ほど前の話です。
写真は毎朝の光景です。
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