下水処理と街の縮小計画での事前復興計画
2018年5月26日(土曜日)は、高知市はりまや橋小学校コミュニティ・ホールにて「村山和彦氏講演会」(主催北街・南街防災実行委員会)に参加しました。30人参加者がいました。講演会の様子は既に溝渕栄子さんや高木妙さんのFBにアップされています。
私は当日「海の散帆」堪能していましたので、会場へ到着した時は既に講演会は始まっていました。村山和彦さんは、一級建築士であり、都市計画に詳しく、千葉では「地域通貨ピーナツ」の運営や、東日本大震災後南三陸町の復興計画にも関与されていました。
講演で印象に残った言葉を記述してみます。
「高知市の防災地図で色つきの場所は、大半が市街化された地域。13万人の高知市民がそこで暮らしている。想定される南海地震では海抜0メートルの地域はマイナス2メートルになります。
津波は30分で第1波が到達されると言われていますが、その前に用水路や下水路から汚水が市街地に吹き出し浸水する可能性が高いです。」
「被害想定やその過酷な状況からどうやって命を守るのかは、地元の防災会や行政の防災担当部署の問題です。わたしはその後の街の復旧・復興について。都市計画の専門家の立場から発言したいと思っています。」
「それは下水処理の問題です。高知市は広域排水処理の考えかたで下水処理を行っております。下知や潮江地区の海抜0メートルの地域に下水処理場があります。下知や潮江周辺の下水処理ばかりでなく、周辺市街地の下水全てを処理します。
南海地震で地盤が沈下しますと0メートルがマイナス2メートルになるので、より負荷のかかる労力のかかる排水しないといけないです。電力消費がすごくなります。東京都の電力負担が1番大きいのは、銀座付近を走る東京で1番古い地下鉄の構内の排水を汲み上げ排水するための電氣消費雄量が凄いのです。
南海地震後高知市は電気料負担が出来ない可能性があります。」
「釧路地震の後下水処理場が被害を受け浄化した下水を釧路湿原に流せなくなりました。釧路市は湿原のタンチョウ鶴(特別天然記念物)を守るために、下水道処理場の修理が完成されるまで。市内の上水道の給水を停止しました。
高知市でもそうしないといけない事態になります。」
「なぎさ線(海抜0メートル)が、南海地震後は上町あたりになります。海抜の高い浸水していないしない地域の下水は今は全て下知潮江の下水処理場へつないでいます。それではもたない。
私に提案はなぎさ線の地域に下水処理場を3つぐらい事前に建設し、海抜の高い地域の下水は下知と分断して流すということです。それをすれば高知市の復旧・復興は早くなります。」
村山さんは「事前復興計画」のなかで、ぜひとも実行すべき課題として挙げられました。当日講演では村山さんは言われませんでしたが、「浸水区域を仕切りをして、1升づつ排水すればいち早くドライエリアが出来る筈です。」とも言われていました。
これは船舶の「隔壁」のような構造を浸水想定地区につくるという発想です。船舶の場合、船体が万が1破損しても隔壁があり、止水扉で遮断すればそれ以上浸水しない構造になっています。その応用編です。ユニークですが有益な発想であると感心しました。
また後半時間がありませんでしたが、大事な観点を村山さんは言われました。
「2040年の高知市の人口は20万人になります。つまり現在32万人の高知市の人口から浸水地域の市街地の人口13万人を差し引きますと20万人になりますね。
ですので南海地震後は20万規模の都市づくりをして再興すべきなんです。」
「つまり今より3分の1街を縮小して再興・再生プランを出すべきなんですね。」と言われました。
この観点はとても重要。高知県は毎年7000人づつ人口減少しています。高知市でも2000人ずつ減少しています。
かつて東日本大震災後に東北の被災地各所では「創造的復興」という言葉が使用され、人口減少にの時代により人口増の復興計画が立案されました。盛り土や高台整備の計画が実行されましたが、工事に予想以上の時間がかかり、非難している場所で生活の場を作った被災者の多くは元の場所に戻らない傾向が顕著です。
南海地震が起きていない今こそ、高知市民は「下水道整備」問題と、「市街地3分の1縮小問題」を冷静に議論すべきではないかと考えます。
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