W杯ベスト16の経済波及効果
0-1とリードされながら他会場の結果に運命を託し、ひたすら時間稼ぎのボール回しを10分以上していたサッカー日本代表。ブーイングは会場の観客だけでなく世界各国のサッカー関係者やメディアからもたくさんありました。でもその作戦が実り、日本はアジア勢で唯一ベスト16へ残りました。中米代表のメキシコと南米が4国で、残り10国は欧州勢ですから。話題のアフリカ勢は1国も残りませんでした。
早速日本がベスト16へ進出したことでFIFAからの賞金が一次リーグで敗退するよりも4.4億円増えました。通算の獲得賞金は14億8500万円位になりました。ですのであのプレーのお蔭で、4.4億円稼いだことになります。
日本経済新聞2018年6月30日の記事はユニークでした。経営論を絡めて西野監督の指導方法を評価しています。「部下信じて機材適所追及」とあります。傾聴力(聴く力)に優れ、「西野流「聴く力」結実」という記事を書いています。
「部下ありきで適材適所を探していくのが西野監督のスタイル。大会直前の強化試合でつかんだいい流れを迷わずに取り入れ、かつ個々の力を引き出したことが、就任3か月足らずの緊急登板ながらも組織全体を立て直せた主因だった。」
「西野さんのすごいところは人の意見を受け入れること。その強みと、現メンバー内に提言できる選手が多いことがマッチしている」本田が西野監督の「耳を傾ける力に感心したように述べたときがあった。」
前任の代表監督であったハリホジッチ氏は、独裁的であり、自身のサッカー観を絶対視し、選手に服従を強い、選手やスタッフの異論を一切認めなかったようです。「個々人の選手の力を強める」「1対1で負けない体力」「縦への早い攻撃スタイル」は、今回のW杯を県戦していてもハリホジッチ氏の考え方は間違ってはいないでしょう。
しかし日本には全盛期のドロクバ選手やエトー選手のように、背が高く、足が速くて、上手くて身体能力のあるFWの選手はいません。つまりハリホジッチ氏が理想とするサッカーを実現できる選手は誰1人いませんでした。
日本人スタッフの進言には耳を傾けず、頑固で強権的でした。それでも結果が出ている時は良かったですが、結果が出なかった場合には、選手を責めたりしてました。サッカーは「責任追及」のスポーツではなく「コミュニケーケーション」のスポーツであることがハリホジッチ氏は最後まで理解しませんでした。
本田選手のように若い時から日本を飛び出しオランダで活躍し、ロシアで名を上げて、イタリアのセリエAのACミランで10番を背負い、今はメキシコで活躍中の選手。自分の才覚で世界を歩いている本田選手は、「物言う選手」であり、ハリホジッチ氏とはウマがお合わなかったんではないかと思われます。
トレーニング・スタッフの進言も採用し、選手の体調維持を最優先することを取り入れました。W杯初戦のコロンビア戦での選手各位の大活躍は決して「まぐれ」ではなく、練習環境、食事、選手間のコミュニケーション、情報の共有化など、前任監督と180度変化した環境を構築したことが、日本代表の大躍進に繋がりました。
選手やスタッフの意見を辛抱強く傾聴し、最期の決断は自分で決め、責任をとる。それだけ選手やスタッフに西野監督が信頼されている故に、ポーランド戦の「時間稼ぎ」のボール回しができたのでしょう。そしてベスト16を勝ち取りました。
記事によれば経営コンサルタントも「最悪リスク想定 判断賢明だった」と西野監督の「決断」を評価していました。
「最大のリスクは一次リーグ敗退だ。代表チーム2は、強豪ポーランドと生々堂々戦うよりも、決勝トーナメント進出に大きな期待がかかっていたはずだ。」
「倒産や業績の急激な悪化と言う大きなリスクを前に、従業員のモラルや士気が一時的に下がっても手段を選べない重大な局面はある。ギリギリを攻めた西野監督の選択は賢明な判断だったと考える。」と高い評価をしています。
一方で国内経済に目を向けますと、今回のW杯では大型TVが昨年の2倍売れたようです。深夜の試合故に録画機能のレコーダーも伸びているとか。宅配ピザも通常の1・5倍の売り上げがあったとか。営業時間を延長し午後10時以降の売り上げは3倍とか。
ロシア旅行の旅行者は4倍とか。高級紳士服も「日本代表オフィシャル・スーツ」も35万円もするが前年を上回っているとか。なかなか経済波及効果が出ていますね。
サッカーW杯は平和の祭典。経済効果も大きいようですね。
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