岩手日報・震災特集号を精読しました。(その1)
2021年3月11日前に、岩手県宮古市在住の「地震・津波語り部」(山田伝津館)の菅野和夫さんから岩手県の地元紙である岩手日報を送付いただいていました。とても深刻で重たい内容の記事が満載でした。
感想は「10年経過しても、深刻な問題は解決されていないことが多い」という現実を思い知りました。「高知での事前復興の参考にしてください。」とのお手紙でした。重たく深刻な記事に「打ちのめされ」岩手の災害の現実と復興事業の大変さを思い知りました。
「3・11」特集は、高知新聞でも全国紙の日本経済新聞でも大きく取り上げられ、また地元高知市下知地区でも震災後初めて「ミニ慰霊祭」を始め、報道機関に取材されました。他人事ではなく。、当事者意識は持っていたつもりでしたが、岩手日報の記事は遥かに「深刻な」問題があることを知らせていただきました。
内容は大きく3つありました。2021年3月1日号は「行方不明者の生活再建」という特集記事が組まれていました。それを自分なりに読み込みました。(その1)です。
対面調査で458人の歩みを聞き取り記事にされています。身内を津波で亡くされ、生き方不明になっている方たちは家屋の再建が遅れたとのことでした。「自責の念決断に迷い 資金的課題も」と見出しに
記事では津波で家族5人を亡くされたご夫婦の10年間の歩みが記述されていました。山田町の自宅は流出し、隣町の宮古市で自宅を再建されました。「心に空白を抱えたまま、生活再建のために仕事に打ち込み自立のための手続きを進めた。古里(山田町)に自宅を再建したかったが、(町の)復興方針がなかなか見えず、勤務先に近い宮古市の現在の家に2014年7月に引っ越しした。
自治体をまたぐ書類手続きは複雑で、補助制度などの情報もなかなか得られなかった。わからないことだらけで、山田と宮古の役所を何度も往復した。高齢世帯はもっと黒したはずで、手続きの簡素化や分かりやすい情報発信が必要だ」と提案する。
また記事の中では「仮設確保への事前の準備を」と書かれています。高知県はL2想定(東日本大震災規模)で高知県が確保している仮設住宅用地確保はみなしも含め僅2・3万戸です。30%に足りていません。県議会で地元代表の坂本茂雄県議に質問していただきましたが、改善は全くされていません。ちなみに静岡県は100%確保しています。
「遅くとも被災者の半数が5年以内に安全に再建が果たせるよう、災害時に適した仕組みの整備が必要だ。」と記事は問いかけています。
今村文彦東北大学科学国際研究所教授・所長(津波工学・災害科学)は「事前防災は避難所などの緊急対応が主流で、復旧復興はまだ少ない。災害は繰り返されるので、事前復興や事前投資で段階的に備えることがトータルで被害軽減につながる。」と言われています。
海に隣接している高知市下知地区。今後の最重点課題は「事前復興計画を提唱し、地域のなかで見える化すること。」です。すでに事前復興計画の理念と概念は提案しました。具体案の提示が必要な時代になりました。
岩手の厳しい現実から学びました。
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