あんぱんも「戦争編」はいつまでも重苦しい
物語で主人公の1人である柳井嵩が徴兵され、新兵訓練で暴行を受けたり、理不尽な仕打ちをされながらも、なんとか乗り切り、幹部候補生試験も合格し、下士官となりました、しかしついに中国へ出兵。台湾の対岸の福建省に駐屯するようになりました。
物語は史実のやなせたかしさんの実話どうりに、現地の中国人相手にやなせさん手作りの紙芝居が大うけする展開になりました。
しかし次第に「日本軍は解放軍だと思い来てみたが、実は違っていた。」「有無を言わさず中国人集落に入り、家屋を接収し、住民を追い出し、強引に食料調達をしている」ことも物語で言われています。それも事実であると思います。
やなせたかしさんと父は同年齢で徴兵されています。ただ父は入隊後に当時の不治の病と言われた結核に感染し、自宅療養し完治したところに再び徴兵。運よくやなせさんどうように幹部候補生試験に合格、軍曹となり浜松で訓練している間に終戦になりました。戦場にいくことなく終戦になりました。父は幸運でした。そうとしか思えません。
しかし父の学生時代の同級生や、遠い親戚筋の人たちは長期間の軍隊生活を強いられ、アルコール依存症になったり、戦争の後遺症で病んでいる人たちが多かったです。当時は農業をしていて徴兵された日本兵が多かったようです。戦火が拡大するにつれ 補給体制が貧弱な日本軍は苦戦します。軍幹部は「現地で食料などを調達せよ」とかいう命令を出し、資金も与えず軍を動かし、中国人集落から強引に食料を調達したと聞いています。日本兵の多くは農業従事者なので、中国人農家にどこに食料があるか探せばすぐにわかったことでしょう。素直に提供すればいいが、なかには不条理な要求に抵抗する人たちもおられたと思います。軍の命令で殺害したり、家屋に火をつけたりしたこともあるようでした。
「俺はチャンコロ(中国人の蔑称)を何人も殺した」と酒に酔うと話をする人も多かったようでした。子供心に恐怖を感じたことでした。「あんぱん」の描写も現実からの聞き取りから正確に描いているようですね。おぞましい大昔に聞いた話を思い出しました。
「あんぱん」ファンのSNSなどの投稿を見ますと「戦争編になってみるのが耐え難いので見ません。」という人も多いようです。でもそれがその時代の日本軍の有様であることは、父や遠い親戚筋から聞いた話ですので間違いないことなんでしょう。辛くても現実から目をそらさず視聴しましょう。
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