日本の選挙事情の詳細なレポート
日本経済新聞2024年12月の「私の履歴書」は、米国の政治学者でコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏でした。12月8日のコラムは秀悦でした。
「代議士の誕生」「地方の実情、選挙の教科書」
「佐藤氏の器の大きさに感謝」という大分県の国政選挙のレポートでした。中選挙区の激戦区を勝ち抜いた保守系の政治家の佐藤文生氏の選挙の実態が描かれていました。
佐藤氏の奥さんや子供たちの協力をジェラルド・カーティス氏は得て、大分弁をマスターし挨拶の時に「めんどしいけんど(恥ずかしいですが)と前置きすると後援会メンバーと打ち解けたとか。
後援会の酒席では」佐藤氏に付いてお流れを頂戴し、酔いで立てなくなるまで杯をかわすと「根性がある」と仲間として認められたとか。選挙参謀の秘密会合にも立ちあい、票や金銭の微妙な話も見聞されたとか。
「選挙が近づくと選挙区内の各所から幹部の運動員がやって来て、選挙参謀と足りない票数などで話す。そして」車に「選挙ポスター」の束を乗せて去っていく。」
「実際になかに入ってのはポスターではなく100円や500円の札束だった。幹部らは自らの取り分を除き、」残りを集票担当の下位の運動員たちに「足代」として配った。」
「戸別運動を禁じた選挙法をかいくぐるために当時の別府市長は故人への挨拶を装った。
「ごめんない」といって支持者宅に上がり、仏壇に封筒を置いて手を合わせたが封筒の中身は誰もが知っていた。投票への事前のお礼だった。」
この辺りは「自民党の有償ボランティア運動員」の実情を描いていますね。地域の自民党の代議士候補者は地域を歩き、お金を集め、こうした後援会組織を1からこしらえて行かなければいけない。実に過酷な作業であり、政治活動であると思う。
都市部の多くの「安倍派」の代議士たちは、このような地道な後援会活動や政治活動などができないので、「無償ボランティア」である統一教会に依存したり、派閥から「裏金」を支給されたりしましたが、所詮は地域を歩いて地道に組織をこしらえる活動をしていないので、自民党の公認を外され、比例区の重複立候補が出来なくなると、あえなく多数は落選しました。
ジェラルド・カーティス氏の指摘はもっともですね。こう書かれています。
「政治家はどの国でも、政治資金の規制をすり抜ける天才だ。それゆえに今日の政治改革に¥をめぐる議論は的外れに感じる。
選挙には良くも悪くもお金がかかり、足りなければ政治家は合法か否かに関わらず何らかの手段で資金を集める。そうでなければ金持ちだけが政治を担うことになる。」
「むろんどこかでタガをはめないと、米国の様に事実上無限にお金を使える狂った仕組みになる。だが大事なのはパーティ券の金額上限といった規制ではなく、透明性だ。お金の出入りに厳しい情報公開を銀受づけることが、後ろ暗い資金の流れを断つのにはよほど有効だ。」
年明けの通常国会では、次年度予算が野党の賛同wを得られて成立するかどうかが1つのやまでしょう。その場合は「企業団体献金の禁止案」を野党側が出すのか。それとも「情報公開」と「資金の流れの透明性」を確保しながら企業団体献金アリの与党側の議論が、果たして合意形成ができるのかどうかでしょうか?
国会での議論が活発になってよかったとは今のところは思いますね。
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