災害復興と開発‐リスク配分の不均衡と環境変動

10年来の交流のある室井研二さん(名古屋大学大学院環境学研究科教授)が、長年の研究や現地訪問などのフィールドワークの成果の著作を2026年1月に東信堂から刊行されました。
室井研二さんは社会学的観点から災害を凝視し、災害復興事業を観察して来られました。東日本大震災後に、調査対象地に選んだ宮城県山元町、南三陸町、女川町でした。
「いずれも震災の激甚被災地であるが、それ以上に本書が注目したのはこの3つの自治体では、震災後の人口減少率が突出してたかいことである。
さらに3町では震災後に共通して新市街地の開発を目した大規模な復古事業が実施されたのにもかかわらず、人口の減少が著しいということは、既存の復興政策の枠組みに根本的な欠陥があることを示唆するもである。
その実態を解明し、教訓を汲み取ることが、今後の大震災の復興・防災対策を考えることが上記3町を研究対象に選んだ理由である。」
室井研二さんは確か2012年過ぎから2019年頃まで、高知市下知地区へ来られ、地域の会合やフィールドワーク、役所の訪問や意見交換などを、フットワーク軽く地域の情報を精力的に体で収集されていました。
「本書は東日本大震災の発生や南海トラフ地震で大きな被害が予測されている高知県高知市を事例に取り上げて検証した(第6章)。P261からP281は「6震災想定下の防災と社会変動-高知市における南海トラフ地震対策」が記述されています。

また「6-2 インナーシティの脆弱性-下知地区の事例」P282-P291)で詳細に記述されていることに驚きました。室井研二さんは、下知地域の多様な人たちと交流し、話して東日本大震災の被災地の観察と訪問による研究から高知が読み取れることも多くあると思いました。このあたりが、室井研二さんの真骨頂ではないかと思いました。
「一般に地域防災というと、コミュニュティの共助やそれに依拠した緊急避難対策が想起される場合が多い。また、防災教育では、ハザード(地震)に関する「科学的」知識の伝達が重視されがちである。
しかしそのような防災観の一面的な強調は災害の根本原因から目を逸らせ、防災を矮小化してしまうおそれがある。そうした考えから、高知市における脆弱性の成り立ちを開発の歴史的沿革に遡って分析し、また南海トラフ地震の予測がもたらした社会的影響を社会階層との関連も視野に入れて分析した。」と丁重に書いていただきました。

本書の狙いは「大震災からの復興過程を描くことだけではなく、災害に着目して平時の社会の成り立ちや支配的な政治経済動向を批判的に捉え直し、既存の防災制度の枠組みに回収されない新たな防災のヒントを探ることを狙としている。」(P5 はじめに)
著作は「ななめ読み」した程度です。(このところイラン戦争により石油製品供給が不安定で毎日日にち振り回されています。合間を見て詳細に読み、のちに感想文は書きます。
注釈欄で、「下知地区の自主防災活動の詳細については、防災リーダーN氏のブログ(二葉町防災新聞)などで逐一報告されているので参照してほしい。」と書いていただきました。ありがとうございます。
二葉町防災新聞 http://futaba-bousai.cocolog-nifty.com/






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