「絶望の隣は 希望です」を読んで
。やなせたかしさんと奥さんののぶさんとの夫婦の物語が、」2025年4月からNHK連続テレビ小説「あんぱん」でスタートしました。
実話をもとにした物語なので、フィクションとわかっていても面白い。こちらも10年ぶりにやなせたかしさんの著作本を図書館で借りました。
その中で「絶望の隣は 希望です」(やなせたかし・著・小学館・2011年刊)を読みました。2013年10月に逝去されているので、その2年前に発刊されています。
「本書は談話をもとに構成したものです。」とあります。やませたかしさんと編集者が何度度か対話しながら録音し、ライターが書き起こし、編集発行されています。
ご自身の人生を振り返り、率直に話されています。
東日本大震災の直後の座談でしたので、津波で大きな被害を受けながらも1本の松が残り、皆を励ましている姿にやなせさんは感動し、被災者の人達を励ますために「1本松の歌を」皆で作り。プロの歌手の人達とともにコンサートを現地などで行い、収益金を寄贈されたりしました。
第1章から、第10章の見出しを見ても、やなせたかしさんの人生そのものです。やなせたかしさんは、大正8年2月生まれで,5月生まれの父とウナイ年ですが、早生まれなので1学年上です。
柳瀬さんは1940年から46年まで徴兵され、6年間過酷な軍隊生活。収容所生活をされました。弟さんは戦死されていました。父も含め大正生まれの男子は多数戦死しています。それだけ生き延びた人たちは長寿です。柳瀬さんは93歳、父は99歳まで生きましたから。
「父の病死 母の再婚」「戦争で思い知った本当の正義」の過酷な体験のなかから、「アンパンマン」が誕生してきたことが良く理解できます。
「人生一寸先は光です」という言葉(P225)には、励まされます。
「実際、40代から50代にかけて、僕は絶望というトンネルの中にいました。自分の歩いている道が見えない。見つからない。同期と思っていた連中が、みんな花形になって飛び立っていき、後から漫画家を目指してきた新人たちにもあっさりと追い抜かれる始末。」)(P227)
やなせたかしさんは、マルチな才能がありながらも、「代表作」がなく、どんどん年齢を重ねていくことに焦りを感じていました。
私もスケールやレベルも違いますが、高校生時代から70歳まで「長くて暗いトンネルにいた」ことがありましたから。よくわかります。誰でもあるんですね。自分だけではないことがわかります。
70歳近くなって「あんぱんマン」が空前のヒットになりやなせさんは報われました。支えてくれた奥さんにもむくいることができました。
ひるがえって「何物でもない」私は50年のトンネルから出ましたが、未だに何物でもないです。諦めず長生きして、トライを続けます。
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