歴史問題

2018.05.23

ゲバ文字も立て看板も一種の文化遺産?


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 日本経済新聞はユニークな全国紙。経済専門の形態ですが、コラムや特集記事は他の全国紙や地方紙にはない独特の味がありますね。2018年5月20日朝刊の1面のコラム「春秋」は面白い。

「ゲバ字をご存知だろうか。」で文章は始まります。それは「ビラや立て看板に踊っていた独特の書体だ。字形は極端に角張り、闘争を斗争、万歳を万才などと略字で書き、いかにも物々しい雰囲気を伝えていた。中国の文化大革命に登場した「大字報」の影響もあったろう。」とありますね。

当時私はアホな若者であり高校生時代に負け続けていた社会運動に打ち込み卒業できず1年留年して卒業、大学へ入学したのは1973年でした。1968年をピークとする学生運動も衰退局面にありました。学費値上げ反対運動などの集会などがありました。

 サークルの案内や各グループの自己主張は、立て看板に日経新聞の言う「ゲバ文字」で書かれていました。アートな書体なんでしょう。書いていた先輩が「最近の新入りは立て看の字も書けない。デモ指揮も出来ない連中が多い。昭和30年代以降の連中はダメだね。」とか言われていました。「今は昔」のお話です。「伝統」は滅びてしまいました。

 5月には1968年のフランス5月革命がありました。日本でも大学での闘争がありました。アメリカではベトナム反戦運動が展開され、中国では文化大革命。チェコでは「プラハの春」がありました。「かつての若者」であった私も少しだけ現場の雰囲気を味わいましたが、1972年の連合赤軍事件と陰惨な内ゲバが繰り返され、新左翼の社会運動は壊滅しました。
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 京都大学の立て看板も風物の1つ。市当局が景観条例をたてに取り締まる方がおかしい。日経も「京都らしい場所ではないか」と嘆いています。

 価値観は多様であり、多様性を認めることが社会の活力であると思います。全体主義がはびこりますと社会の活力が衰退します。

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2018.05.03

憲法施行71周年県民のつどい


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 2018年5月3日は、憲法記念日です。1947年5月3日に日本国憲法が施行されて71年目です。憲法集会に行こうと思っていましたので、かるぽーと大ホールで開催されました「憲法施行71周年県民のつどい」(主催・高知憲法アクション等)でした。坂本茂雄さんのHPに案内がありましたので、自宅から歩いて参加しました。

 講演会がありました。講師は浅井基文氏(元外交官・政治学者)です。経歴などはウィキペデアを参考に。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%85%E4%BA%95%E5%9F%BA%E6%96%87

 講演のテーマは「アベ改憲の危険性を考える 激動の朝鮮半島情勢を踏まえて」というテーマで約2時間ありました。講演で印象に残った文言を記述します。

「20世紀型のパワー・ポリテックス(権力政治)はゼロ・サム世界論である。
 仮想敵国をつくり力で撃破する。そのような政治は古い。」
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「21世紀はWIN・WINの時代。人間の個を尊重し、多様性と個人の価値を
重視する世界になってきた。気候変動や環境対応をしなければならない時代に戦争することは間尺に合わないはず。」

「朝鮮半島の戦争は核戦争。その場合は朝鮮と日本は灰になります。世界経済をけん引する東アジアが壊滅することは世界経済が壊滅することに等しい。」

 浅井基文氏は「憲法9条・絶対主義」を諌めていました。

「ただただ憲法9条だけを死守するという論だけでは、北朝鮮のミサイルが飛んできても無防備で居れと言うのか」という論に対抗できない。」

「従来の護憲論の多くは相手方のこしらえた土俵に上がって議論するだけ。ひ弱だし、議論が弱い・これではいけない。」
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「正確に朝鮮半島情勢を見抜く目を持たないといけない。」

「北朝鮮の核・ミサイルはあくまでアメリカの核ミサイルや攻撃に対する対抗策に過ぎない。自分から先制攻撃はしないし、出来ない。アメリカが攻撃したら韓国と日本の米軍基地を核攻撃すると言うだけの事。

 北朝鮮が核ミサイルを行使しないように事前に手立てするのが最上の策である。」

「キム・ジョウンはクレージーではない。独裁者であるが、体制維持のためには合理的な判断で行動する。北の安全保障の肝である核開発とミサイル開発が完成したので、今年冒頭から外交交渉に乗り出してきた。」

「北は自国の経済発展を願い、経済支援を受けるための交渉をしている。中国やロシアは支援し、国連事務総長も韓国も支援の動きがある。頑なに経済制裁一辺倒は日本だけ。アメリカもわからない。」

「目的は経済再生であり、手段が核・ミサイル開発であった。休戦協定を平和協定にし、米朝国交正常化をめざしている。」

「北朝鮮は言ったことは実行している。言わないことはしていない。」

「朝鮮半島の南北会談を契機に情勢は大きく変化した。なのに安倍内閣は旧来型のパワーポリテックスに凝り固まっている。」

「安倍内閣は南北分断を固定化しようとしている」「アメリカに追随するばかり」「9条改憲だけには熱心」「日本会議に影響をうけた偏狭なアジア外交」が日本国の国益を著しく毀損しているとも浅井基文氏は言われた。

 「戦争放棄」を主張している憲法9条が今こそより価値が出てくる時代となったと言われました。

 講演後に質問の時間がありましたので、私は4項目を質問しました。Qが私でAが浅井氏の回答です。

Q「北朝鮮の脅威は大したことはなく、むしろ平和を今は望んでいることは良く理解できました。今後はむしろ経済大国(GDPが既に日本の3倍強)の中国が日本にとって脅威ではないでしょうか?

 中国は共産党の1党独裁国家であり、先の大会で習金平の独裁が長期間継続することを確定しました。国内では強権政治を行い、最近ではWEBで国民各位を情報管理しています。中国の国民監視システムをアフリカ諸国に輸出もしています。

 浅井さんは中国外交に詳しいということですがいかがでしょうか。」

A「確かに中国は国内的には政治的な自由度の少ない社会です。ですが脅威と決めつけるのはおかしいと思います。グローバル経済や一帯一路政策などは、経済交易の拡大を求めています。

 アメリカは日本やオーストラリア、インドまで巻き込んで中国を包囲しようとしていじます。」中国の行動はそれに対する対抗処置であるとおもいます。」


Q「羽田や成田の管制権も米軍横田基地が持つと言う日米地位協定。沖縄で県民が一方的に米軍の被害を受けるのも日米地位協定です。日本国憲法よりも上位にあります。なぜ政府は改定しようとしなかったんでしょうか?

 保守派は憲法改正より先に日米地域協定の改正が先であると何故言わないのでしょうか?外務省はなにもしないのでしょうか?」

A「そのとうりですが、それを言いだすと日米同盟が崩壊するんで歴代自民党政権は手が付けられませんでした。国民の意志をきちんと尊重する政府が誕生したら、再定義をして日米交渉をして改定が出来るとは思います。今の安倍政権では無理です。」

Q「日本は被爆国ですが核兵器禁止条約を批准しません。アメリカの核の傘に入りながら北朝鮮の核廃棄を言うことは矛盾しています。」

A「矛盾しています。日本も核兵器禁止条約を批准すべきです。でも今の安倍政権では無理です。被爆国でありながら核兵器禁止条約を批准しない政府を選んでいるのは国民です。国民が意識を高め政府を変えるようにならないと駄目です。」

Q「現在の平成天皇は戦地の慰霊の旅を行い、沖縄にも10回訪問されました。象徴天皇であり護憲をされていると思います。安倍政権よりはるかにましな存在であると思います・」

A「個人的には天皇制廃止論者です。象徴としての平成天皇は戦地慰霊を続けておられ立派であると思います。」とのことでした。

 一問一答でしたので、意見交換も徹底して行うことが出来ませんでした。

 「護憲派」の論客の1人としての見解を傾聴させていただきました。単なるヒステリックな「9条は命」論ではなく、ご自身のアジア外交の経験をベースとした見識は一理ありました。

 閉会の辞を高知憲法アクション(https://kochikenpo.exblog.jp/)の高知大学の岡村氏が「憲法改悪反対30000万人署名運動に協力を」と言われていました。

 帰り際に元労組幹部の人から話しかけられました。

「いきなり中国脅威論はいかがなものかと思うんだが」

「強権的に国内で政治的な自由がない国が帝国主義的な膨張をし続けている隣国に脅威を感じているだけです。」と申し上げました。

 なかなか意見は多様でまとまりはありません。浅井基文氏が言われるように護憲運動内部で「多事争論」の議論を熱くしないといけないと思いました。

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2018.03.28

今上天皇は日本人の良識

 今上天皇は皇后とともに沖縄県を3日間の予定で訪問されています。皇太子時代から言えば今回を含め11回目の訪問となります。沖縄は先の大戦で凄惨な地上戦が行われ、当時の沖縄県民の4分の1が亡くなられました。
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 旧日本軍は守備隊の精鋭部隊の多くを台湾に転進させ温存し、沖縄県民を「人間の盾」のように地上戦に満足な武器も持たさず動員しました。女学生も看護要員で動員しました。当時の皇民化教育は沖縄で徹底して行われたために犠牲者も多かったです。米軍の本土進出を1日でも遅らせるための「捨石」に沖縄をしたのです。

 昭和天皇は敗戦後、地方訪問をしました。沖縄県だけは行くことが出来ませんでした。その意向を継いだ今上天皇は皇太子時代の1975年から沖縄訪問をしました。その時に火炎瓶を投げつけられても戦没者の慰霊のための訪問を繰り返しました。10回訪問したのです。
朝日新聞今上天皇沖縄訪問記事2_NEW_R
 安倍内閣や自民党の粗悪な戦前回帰の改憲案や、日本を戦争国家にする画策ばかりしている自民党の政治屋に比べ、今上天皇は真摯な心をもって戦没者の慰霊をされてこられました。自国民だけでなく敵国民や現地で犠牲になった国の人達の慰霊もされています。

 私は天皇制の信仰者ではありません。しかし今上天皇・皇后陛下は、「良質な日本人」のあるべき姿を体現されています。あらためて凄い存在であると感心しました。

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2018.01.09

「世界史を創ったビジネスモデル」を読んで

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 「世界史を創ったビジネスモデル」(野口悠紀夫・著・新潮書店・2017年刊)の読書感想文をようやく書くことが出来ました。実は昨年10月7日に名古屋大学へ意見交換会に行った翌日に、名古屋市の丸善で購入し(空港で面談したかおちゃんにサインしてもらいました).父(98歳)の通院する植田医院での点滴治療の合間に読み終えていました。
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 しかし10月は仕事で滅茶苦茶せわしく、11月になり父が身体機能が低下し、足のむくみが酷くなり、12月になり母(92歳)が自宅で火傷し入院し、「ダブル介護」状態になりました。介護ケアは肉体的にきつくはありませんが、精神的になんか疲れます。最近ようやく慣れてきたこともあるし、1月7日の海の散帆で疲れも癒えました。感想文を書いてみます。

 まずタイトルに惹かれました。「世界史を創ったビジネスモデル」です。「ローマ帝国」「大航海時代の大英帝国」「マイクロソフトとアップル」「グーグルの成長」などが取り上げられています。「ITとビックデータはどんな世界を創るのか」と見出しにあり興味はつきません。

 著者の野口悠紀夫氏と言えば、経済学者であり、情報整理の「達人」であり「超整理法」とう著作を以前読んだことがありました。ハイテクやグローバル経済に長けた学者であり、ネット時代以前からその社会に対応する仕組みを20年前から考案されていました。
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 「歴史」といえば、「ローマ人の物語」(塩野七生)だとか、佐藤優氏や、内田樹氏や、古くは司馬遼太郎氏「この国のかたち」などを読んでいました。経済学者でハイテクやグローバル経済に長けた学者野口悠紀夫氏が「歴史について」記述すること事態が新鮮でした。
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 「歴史からビジネスモデルを学ぶ」としてこう記述しています。

「ビジネスモデルとは、普通は企業が事業を遂行するための具体的な手段や方法を指す。いかなる顧客を対象として、どのような商品やサービスを、どのように提供するかといったことだ。

 適切な微視ネスモデルの具体的な形は、環境条件が変れば変る。とりわけ、新しい技術が現れれば、大きく変わる。そうした場合にいかなるモデルを構築するべきかは、けっして簡単なことではない。」

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「その際、過去のケースを調べて役立ちそうな事例を抽出するのは、有効な方法だ。ビジネスモデルの研究は。必然的にケースメソッドになる。」(P17)

→「ケースメソッド」は企業研修として注目されている学習手法の一つです。自己研究とディスカッションによって構成され能動的に学習に取り組むため、実践力とリーダーシップといった非認知能力が身につくとされています。(調べました)

 古代ローマ帝国は東西ローマ帝国に分裂するまで500年続き、東ローマ帝国は1500年も続きました。地中海全域を支配した大帝国が500年も続くことは、かつて人類の歴史上在りません。旧ソ連邦も広大な面積を支配しましたが、僅か74年しか続きませんでした。

 ビジネスモデルの2つの基本概念があると野口氏は言います。

「重要な概念は「多様性の確保」と「フロンティアの拡大」である。
 多様性を実現できた国や企業は、出来なかった国や企業に対して優位になることが多い。

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 現代ではナチスドイツの異民族排斥政策がその典型だ。企業も多様性を失うと、80年代のIBMの例にみられるように衰退する。」
 
「多様性は、分権化と結びついている。これは特に現代国家における国の構造について、重要な意味を持つ。企業の場合でも、単に巨大化するのではなくて、意思決定を分権化することが必要だ。
 
 分権化を実現する手立ては、経済的な問題をについては市場メカニズムの活用であり、政治的には分権化である。」(P24)

 筆者が著作を起草した動機は、長らく続く日本経済の停滞であることでしょう。多様化を拒否し、分権を拒否し続ける日本の政治と経済。人口減で労働力人口が減少し、高齢化が世界に例を見ない速度で進行しているのに、移民の受け入れをしない日本社会の現実は、経済学の観点からは全く不意合理であると筆者は述べています。

 日本と対照的なやりかたで世界帝国を建設し、しかも500年間存続させた古代ローマ帝国を事例として野口悠紀夫氏独自の視点で分析しています。

「ローマ帝国は成功した。それは、分権化した国家機構、小さな官僚機構、自由な経済活動、平和、強力な軍などの条件による。」

「ナチスドイツが寛容政策を取っていれば、第2次大戦の結末は違うものになっただろう。ソ連が市場経済制度を導入していれば、集権下に伴う問題を回避できただろう。

 ナチスもソ連も、歴史の教訓に学ぶことができなかったのだ。」(P441)

「企業が失敗する条件もさまざまだ。新しい技術の価値を評価せず、古いビジネスモデルに固執し、異質性を排除し、同質の人々のグループになってしまうこと。短期的利益にとらわれて、長期的見通しを失うこと、などなど」(P442)

 まるで最近の日本の大企業の体たらくを指摘しているようですね。東芝やシャープのていたらく。品質管理の不祥事の酷さ。株高で空前の好景気と安倍政権は宣伝していますが、日銀の大幅な金融緩和政策でゆるゆるの利益向上であって、大半が内部留保と海外投資に廻り、新技術の開発投資や賃金への還元、人材投資は殆ど行われていません。

 野口悠紀夫氏は日本の現実をこう指摘しています。

「今の日本では、分権的な機能が機能しておらず、官僚機構が肥大化している。国全体も地域も企業も、異質のものを排除し同じ仲間だけで集まろうとする。

 古いビジネスモデルに固執して、新しい技術の導入を怠っている。異常な記入緩和政策で財政支出をまかない、企業は国の介入に依存するようになってきている。これらはきわめて深刻な兆候だ。しかも無視ないしは、軽視されている。

 日本は歴史に学ぶことができるのだろうか?」(P443)

 筆者は終章で本質を述べています。

「ナチスは人種的偏見のためにユダヤ人科学者を失った。これは、ローマ帝国がその末期に、ローマを守るゲルマン人を人種的偏見から排斥したのとそっくりだ。だから失敗すると予測できる。」

「ソ連の全体主義計画経済は、ディオクレティヌス帝以降のローマ帝国と殆ど同じ構造である。したがって、ローマ帝国のような崩壊の道を辿るだろうと予測できる。」

「中世のイタリアでは、都市国家が発展した。近代のヨーロッパも国家が分立していたからこそ進歩した。ところがEUはそうしたヨーロッパの歴史と異質のものである。

 EUはローマ帝国と同じだと思っている人が多いが全く異質だ。したがって、いずれ失敗すると予測できる。イギリスのEU離脱は、EUが終わりに向かう過程の始まりだろう。」

「ドナルド・トランプ米大統領は、自由な貿易を否定し、伝統的な製造業をアメリカに復活させることによって、失業した労働者に職を与えようとしている。そして移民や外国人労働者に対して非寛容な政策をとろうとしている。

 こうした政策が失敗するのは、火を見るより明らかだ。このような政策がアメリカを強くするなど、決してない。それは確実にアメリカの産業力を弱めるだろう。

 トランプ大統領の政策は、控えめにいっても時代錯誤の復古主義だが、国のビジネスモデルの基本から見ても明らかに誤りだ。

 建国以来のアメリカは、古代ローマの再建を目指し、そのビジネスモデルを意識的に模倣した。その理念は「異質性の尊重と寛容」だ。バラク・オバマ大統領が退任演説で強調したとうりである。」

「IBMがサービス事業に転換し、アップルが水平分業を実現し、グーグルがインターネット時代のビジネスモデルを構築した後の世界において、モノを作ることに固執するのは無意味である。

 シャープが失敗するだろうことは、かなりの確度をもって予測できた。これはビジネスモデル選択の問題であり、よく指摘されているような人事をめぐる内紛の問題ではなかったのだ。」(P447)

「予測の自己実現効果で社会が進歩する。」

 引用箇所が多いですが、この本の「エキス」であると思いますので、そのまま引用します。

「歴史の知識は、勝ち馬に乗ろうとする個人を助けるだけではないことだ。それは社会全体に利益を与える。何故なら多くの人々が歴史法則を知れば、成功すると予測されるビジネスモデルに対する支持が強まり、実際に成功するからである。」

「たとえば、ある会社が、歴史法則から見て成功するだろうと考えられるなら、優秀な人が集まる。そして、会社は実際に成功するだろう。予測は自己実現するのだ。これは「オイディプス効果」とか「マタイ効果」とよばれるものだ。歴史法則も自己実現するのである。」

「成功するだろうと歴史法則によって評価されるビジネスモデルは「正しい」モデルだ。
それが、偶然の些細な条件によって挫折してしまうという事態を避けることができ、本来成功すべきビジネスモデルが実際に成功できれば、社会は進歩する。」

「ナチスのドイツから逃げたユダヤ人の科学者たちは、アメリカが成功すると考えてアメリカに来た。そして、彼らの寄与により、アメリカの科学技術が実際に発展した。

 IT革命も同じだ。これはアメリカ人が実現したと言うよりは、シリコンバレーに来た外国人、とくにインド人や中国人が実現したのである。これらはアメリカのビジネスモデルが成功するだろうと言う予測が自己実現した例だ。」

「インターネット時代になって歴史のデータを引き出すのが容易になったので、歴史法則の自己実現効果は強まった。それを巧みに利用できる企業や国家の成長が加速化することになる。」

「ところで、歴史と言う集団記憶を維持できるのは、人類だけである。恐竜は遺伝子を通じて身体の機能や形態を進化させた。そして環境に適応して繁栄し続けた。しかし、集団的な記憶を持っていたのは遺伝子であり、歴史ではなかった。人類だけが歴史を用いて進化することができるのだ。

 ナチスドイツやソ連のような国家は、これからは現れないと思う。ただし、それは人々が歴史を知っている場合の事だ。北朝鮮のように歪められた歴史が教えられている国では、抑止効果は働かない。

 歴史に対する誠実さを欠く社会は、進歩から見放された社会だ。」(P446)

 昔の人は「故きを温ねて新しきを知る」とか温故知新ということを言いました。まさに野口悠紀夫氏の著作は「過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと」そのものでした。」一読されることをお薦めしたい。税別で1700円しますが、それだけの価値はありました。

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2017.08.15

72回目の終戦記念日


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 2017年8月15日は、旧日本帝国が無謀な世界大戦を始め、全世界を相手に無残に敗戦した記念日です。とくに1944年のマリアナ沖海戦で海軍兵力の大半を喪失。サイパン。テニヤンなどが陥落した状況で降伏をしておれば、全国の都市への米軍の無差別爆撃はなかっただろうし、沖縄での凄惨な地上戦もなく、広島や長崎への原爆投下もありませんでした。
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 先の大戦で300万人の日本人が亡くなったとされていますが、1944年から敗戦するまでの1年で200万人の日本人が亡くなりました。いかに当時の戦争指導者が無能であったかを示す現実です。

 「米軍に一撃を加えて自国に有利な降伏条件を交渉する」という無意味な幻想にしがみつき、無益な戦闘を繰り返し、国土は焦土化し、非戦闘員の多くの国民が亡くなりました。

 「日本の参謀本部」という著作を最近読みました。本当に「無能」極まりない戦争指導部であったことに唖然としました。

 「日本の参謀本部」を読んで  

 一部のファシストの人達は、「戦前の日本社会」を過大に「美化」し、72年間平和を維持してきた礎の日本国憲法を誹謗中傷し、改憲しようと執拗に画策しています。

 今こそ日本国民は無意味な戦争に国民を引きずり、犠牲者を過大に増やした無能な戦争指導者によりなされて歴史をきちんと学習すべきです。
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 いまも「北朝鮮」を利用して「戦争国家」日本を安倍内閣は目指そうとしています。ファシズムを阻止しなければいけません。

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2017.06.23

6月23日は沖縄慰霊の日

 2017年6月23日は72年目の沖縄の慰霊の日。沖縄の終戦記念日です。那覇市出身の家内が言いますのは、休日になり各地で平和集会が開かれていたと聞きました。

 日米双方の軍人だけでなく、多数の沖縄県民も巻き込んだ凄惨な地上戦が行われました。糸満市には平和の礎(いしじ)が建立されています。日米双方の犠牲者の名前が刻まれ、韓国や台湾の戦没者の名前も刻まれています。
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 敗戦後も土地の多くを米軍に接収され、未だに日本にある米軍基地の74%が沖縄県に集中しています。
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 人口密集地域の普天間の基地を名護市辺野古に移転することを多数の沖縄県民の意志を無視して米軍のために基地建設を日本政府は強引にやり続けています。しかも基地移転を言いながら拡張して、自然を破壊しながら基地建設をしています。

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2017.05.29

ショック!!「疾風の勇人」が打ちきりか?


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 週刊モーニング連載の戦後政治史を描いた政治漫画「所得倍増伝説!!疾風の勇人」(大和田秀樹・作)が、来週第63話で打ち切りになるらしい。
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 無残な敗戦後、闇市から税の取り立てを行っていた大蔵官僚の池田勇人を吉田茂がスカウトし、政治家として育てあげました。佐藤栄作、田中角栄、宮沢喜一、大平正芳、鳩山一郎、河野一郎、三木部吉、岸信介、三木武夫、石橋湛山などが存在感が濃厚に登場しました。

 それが来週で打ち切りとか。やはり安倍内閣からの圧力でしょう。安倍晋三が尊敬するという祖父の岸信介は漫画でも「妖怪」であり、「悪魔的」に描かれています。
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 それに引き替え戦後日本をけん引し、惨めな敗戦国から経済大国に引きあげた「吉田学校」の生徒たちは、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、大平正芳、宮沢喜一もカッコよくいい男で描かれています。
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 おそらく「祖父をこけにした」と安倍晋三が激怒したんでしょう。なんともスケールの小さい奴だと思いますね。「この漫画は史実を基にしたフィクションです」と書いていますのに。なんとも小さい。
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 公職の政治家は「こけにされてなんぼ」の世界ですから。

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2017.05.15

義母の命日と沖縄返還45年目

 5月15日は義母の命日。もう20年になりました。うちの母と対照的で温厚で穏やかな人でした。義母が元気なころは沖縄へ家族で正月とお盆休みは、「帰省」したものでした。

 ご近所のグランドオリオン通りにある沖縄そばの店「平松」へ鍋をもっておそばを買ってきていただきました。沖縄そばをつまみにオリオンビールを飲むのが至福の時間でした。

 その義母がいつも言われていましたのは「沖縄は基地があるので、いつ攻撃されるのかもしれない。」ということでした。

 二次大戦中は上海におられ、大変な想いをされて敗戦後の混乱のなか帰国されたとか。米軍統治の沖縄に暮らしていました。

 家内も大学進学時には、パスポートを申請して東京へ来たとのことでした。

 沖縄返還から45年。今や基地経済の規模は沖縄経済の5・8%を占めるにすぎません。米軍兵士による婦女暴行や犯罪は相変わらず多く。犯罪を犯しても基地内に逃げ込めば、沖縄の警察はどうしようもありません。

 憲法より上位にある「日米地位協定」で米軍犯罪は野放し状態です。日本にある米軍基地の70%が沖縄に集中しています。

 沖縄の人達の民意を無視し、米軍基地に奔走している安倍政権。「本土並みの基地返還」が沖縄の人達の願望ですが、ひたすら無視しています。

 義母の冥福に手を合わせ、沖縄が基地のない平和な島になるように祈願します。

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2017.05.03

没後20年司馬遼太郎展へ行きました。


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 2017年5月3日は、午後から父を介護予防通所サービスへ送り出してから家内と2人で徒歩で行きました。憲法記念日なので、「憲法施行70周年県民の集い」へ参加したかったのですが、終了時刻が16時半との事。16時には自宅にいませんと両親をデイサービスから引き取れませんので断念しました。

 それで高知県立文学館で5月25日まで開催中の「没後20年司馬遼太郎展 21世紀”未来の街角”で」を見学しに行きました。こちらは商店街の騒がしさとは無縁で、司馬遼太郎さんの世界を堪能できました。

 義母より1年前の1996年に司馬遼太郎さんはご逝去されています。多くの歴史小説を出筆されておられます。私も何冊か読みました。

 また晩年には「この国のかたち」という随筆や対談集を出されました。ご自身の戦争体験や、歴史から見た現代社会のあり方を鋭く問いかけています。

 個人ブログに「司馬遼太郎氏の帝国主義論」というカテゴリーにまとめて見ました。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/cat21875235/index.html

 展示の中にありました「この国のかたち」に印象に残る言葉を残されています。


「統帥権の無限性」

 これは4年前に愛媛県松山市の坂の上の雲ミュージアムの展示室で購入した評論「「昭和という国家」(司馬遼太郎・著・第1刷1999年第23刷2012年刊・NHK出版)を讀んだ感想を書きました。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-e9b9.html

「日本という国の森に、大正末年、昭和元年くらいから敗戦まで魔法使いが杖をポンとたたいてのではないでしょうか。

 その森全体を魔法の森にしてしまった。発想された政策、戦略あるいは国内の締め付け、これらは全部変な、いびつなものでした。

 魔法の森からノモンハンが現れ、中国侵略が現れ、太平洋戦争も現れた。」

 司馬遼太郎が、軍部官僚の「統帥権」という、正義の体形が充満して、国家や社会を振り回していた、”昭和という時代”を骨身に軋むように想いで「解剖」する。日本のあすをつくるために。」と書かれていました。

 また「雑貨屋の帝国主義」という表現も鋭く的確です。

”雑貨屋”の帝国主義


 「この国のかたち」にきちんと説明されています。

「「なぜ、日本は、勝利後、にわかにづくりの大海軍を半減して、みずからの防衛に適合した海軍にもどさなかったのか」ということである。

 日露戦争における海軍は、大規模な海軍たらざるをえなかったことは、「坂の上の雲」(文藝春秋刊)を書いた私としては、十分わかっているつもりである。
 ロシアのウラジオストックにおける艦隊を討ち、かつ欧露から回航されてくる大艦隊と戦うためには。やむなく大海軍であることを必要とした。その応急の必要にせまられて、日本は開戦前、7,8年のあいだに、世界有数の大海軍を建設した。

 ロシア海軍はこれによってほぼ壊滅し、再建には半世紀以上かかるだろうといわれた。」(P37)

「大海軍とはいうのは、地球上のさまざまな土地に植民を持つ国にしてはじめて必要なものとなる。

 帝国というのが収奪の機構であるとすれば、16世紀の黄金時代のスペインこそその典型だった。史上最大の海軍が作られ、大艦と巨砲による威圧と収奪、陸兵の輸送と各地からの収奪物の運搬のためにその艦船はあらゆる海に出没した。

 16世紀末、その無敵艦隊をイギリスが破って、スペイン的な世界機構の相続者になり、機構をみがきあげるのである。

 当然、イギリスは大海軍を必要とした。蒸気機関の軍艦になってから世界の各地に石炭集積所を置いたために、港湾維持のための支配や外交がいよいよ精密化した。

 しかし、日露戦争終了の時には、日本は世界中に植民地などもっていないのである。」(P38)

  中略

「 しかしその当時の日本は朝鮮を奪ったところで、この段階の日本の産業界に過剰な商品など存在しないのである。朝鮮に対して売ったのは。タオル(それも英国製)とか、日本酒とか、その他の日用雑貨品がおもなものであった。タオルやマッチを売るがために他国を侵略する帝国主義がどこにあるのだろうか。」

「また、朝鮮を侵略するについても、そのことがソロバン勘定としてペイすることだったのか、ということをだれも考えなかった。

 その後の、”満州国”(昭和7年・1931年)をつくったときも、ペイの計算はなく、また結果としてペイしたわけでもなかった。」(P43)

「(中略)・・・・・・。

 日本からの商品が満州国に入る場合、無関税だった。この商品がこれ以後、華北に無関税で入るようになった。このため、上海あたりに芽を出していた中国の民族資本は総たおれになり、抗日への大合唱に参加するようになった。翌年、日本は泥沼の日中戦争に行ってします。

 ”満州”が儲かるようになったというのは、密輸の合法化という右のからくりのことをこのモノはいうのである。その商品たるやー昭和10年の段階でもなお人絹と砂糖と雑貨がおもだった。

 このちゃちな”帝国主義”のために国家そのものがほろぶことになる。1人のヒットラーもで出ずに、大勢でこんなばかな40年を持った国があるだろうか」(P46)

 司馬さんは「坂の上の雲」を書いたときに、戦争と言えるのは日露戦争ぐらいだろう。アメリカの仲裁があって辛勝した戦。日本海海戦は何故勝利したかの分析も何もない。無残な後日の敗戦は、その頃から準備されていたのですから。

 安倍晋三首相が「2020年に日本国憲法を破棄し、新しい憲法をこしらえる」と記者会見で吹聴しました。一体改憲論者は何を目指すのでしょうか?「雑貨屋の帝国主義」なのか「統帥権の復活」なのか?しかしそれはありえない。今上天皇陛下御自身が「平和国家建設」の強い意志で行動されています。少し考えたらわかることです。

 今回の文学館の展示では、16世紀、19世紀、21世紀と分けられ、作品の背景の解説がされていて、司馬文学の全貌がよくわかる展示になっていました。2時間近く展示を見ましたが、とても見ごたえがあり、感銘しました。
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 戻りに販売コーナーで「日本人への遺言」(朝日文庫・1999年刊)を購入しました。亡くなる直前までの対談集で貴重です。ゆっくり読んでみます。
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2017.04.09

「親日派のための弁明」を読んで

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 「親日派のための弁明」(金 完燮・キムワンソプ・著・荒木和博・荒木信子・翻訳。草思社・2002年刊]を読みました。現在韓国では反日運動が高まり、大使館前や総領事館前の「慰安婦像」は撤去されず、5月実施の大統領選挙でも、野党の反日発言を繰り返す候補者が有力とか。

 かくも執拗に韓国社会は「反日」なのか?大戦前日本が統治した台湾ではむしろ親日的な人が多い。韓国では反日一色。何故なのかが正直わかりませんでした。

 筆者の金 完燮氏自身は、当初は反日観を強く持っていて日本に対して他の韓国人同様に憎悪を持っていたそうです。その対日観に変化を生じたのは、2年間のオーストラリアでの生活でした。同じように開発途上国として出発した韓国とオーストラリア。埋めがたい差は何か?

「オーストラリアと韓国を比較してみたとき、開発途上国として出発した国は一世代や二世代ぐらいの産業発展では、とうてい先進国になれないという事実を痛感しました。オーストリアと韓国にはそれほど大きな差があったのです。

 私は海外旅行を通して、国際社会における韓国と日本の位置をより客観的に認識できるようになり、朝鮮の開国期と日本統治について、一方的に歪曲された歴史認識から徐々に抜け出し、バランスのとれた認識がもてるようになったのだと思います。(P2 日本語版の序文)

 また金 完燮氏は、高校生時代に光州で命がけで武装闘争をした人物です。時の軍事独裁政権と対峙した人です。その後名門ソウル大学へ入学し、幅広い学問をされ、卒業後は雑誌記者を経て、作家、評論家になりました。

 20世紀初頭の日本と朝鮮との関わり、当時の日本の評価を客観的な視点からしています。

 「王と貴族による専制的な階級社会から抜け出し、法が支配する市民社会へと移行することは、朝鮮や日本だけでなく、世界のすべての国家にとってもっとも緊急の課題だった。」

「19世紀末、市民革命の潮流の中で変化を拒否した清国、ロシア、朝鮮の王朝が順に滅亡し、遅まきながら市民革命に成功したドイツと日本が国際社会の主役として堂々と参加できたという事実を見ればそれは容易に証明できる。

 すなわち19世紀末の朝鮮において体制をひっくり返す革命は、選択の問題ではなく生存の問題であった。」

「・・・この時期、朝鮮を経由して大陸に進出しなければならない日本の利害と、市民革命を通じて文明開化を成し遂げなければならない朝鮮の利害はかなりの部分で一致していた。

・・・当時の日本は国運をかけて朝鮮の独立と改革を推進し煽ろうとした。この時期に朝鮮の改革派はこぞって親日路線を選択したが、これは日本だけが唯一朝鮮の改革を後押しする勢力だったからだ。(P145「第2部相生の歴史」

 このあたりの記述は大変韓国では「勇気のある」発言ではないかと思いました。

「一世代や二世代ぐらいの産業発展では、とういて先進国になれない」という発見が「日本統治がなければ、李氏朝鮮の専制体制のままで、自力で近代化するなど到底できなかったのではないか」という問題意識に発展したのだろう。その一方では、アジアで唯一、近代化に成功した日本があった。

 歳月が流れ、最近「パール・ハーバー」という映画をみながら、私は日本軍を応援している自分を発見した。60年も前に大規模な空母艦隊を率い、地球の反対側まで出征して、アメリカの太平洋艦隊を叩きつぶした日本という国の偉大さに、私は感動し驚きを覚えた。(P19 ショービニズムの狂風のなかで)


「自らが中世いらいの専制政治に依存していた清国やロシアは、決して朝鮮の改革と近代化を望まなかったし、朝鮮の反動勢力を利用して朝鮮半島に対する支配権を維持することに血眼になっていた。」

「これにたいして、朝鮮と似た境遇にあり、すみやかに発展したがゆえに生き残ることができた日本は、朝鮮が一日も早く改革し近代国家へと移行して市場経済体制が定着することを望んだ。だからこそ日本は機会あるごとに、朝鮮の革命勢力を後援したのだった。かれらは自国の利益のためにも旧弊な腐りきった朝鮮王朝と手を結ぼうとはしなかった。これが日本と他の外国勢力との根本的なちがいであった。(P160・第2部相生の歴史)

 まるで日本の「右翼」の記述のようですが、さにあらず、高校生時代に独裁政権と戦った革命戦士の記述ですから。

 自国民を無慈悲に抑圧し、奴隷のような状態に据え置き、自らの権力維持のために清国と手を組み、時にロシアと手をくんで、朝鮮を近代化しようと言う自国民の声を李王朝は全く聞きませんでしたから。愚かでした。

 まるで日本軍が「革命軍」のように描かれています。

 二次大戦後の日本も似たようなところがあり、社会の民主化は、米国占領軍・GHQによるところが大きかったと言えます。農地解放、婦人参政権、労働運動の自由化、日本国憲法の制定による、社会の民主化の推進は、占領軍のおかげです。悪法の治安維持法も廃止しました。

 変化を嫌う頑迷な連中が政府を支配すると国民が塗炭の苦しみを味わうことは戦前15年戦争を繰り返した日本帝国と、20世紀初頭の朝鮮国も同じでした。外圧と外国の軍隊が、民主化と近代化を促進したことは共通しています。

 また筆者は世界史的な観点から、朝鮮の近代化は当時は自力では到底ないせなかったと説明しています。

「封建社会の伝統をもつヨーロッパと日本は順調に資本主義社会に移行し、産業革命と急速な生産力の発展を経験した。この過程で新しい生産構造にあう政治社会構造が導入され、近代社会が誕生することになった。

 しかし奴隷社会から封建社会へ発展することさえできなかったその他の世界では、自主的な資本主義が育たず、資本主義帝国の植民地に編入され、さまざまな形態のひずんだ社会発展を経験した。

 マルクスはこのような第3世界の停滞性を「アジア的生産様式」という概念を用いて説明しようとしたが、その原因を明確に説明することはできていない。じっさいマルクスの時代には、第3世界の停滞性という概念さえ存在しなかったのだから、問題意識も生まれないのだ。

 封建社会を経験できなかった台湾と朝鮮もその他の世界に属していたが、これらの地域は日本の統治によって市民革命をなしとげて近代資本主義社会に発展できた。

 日本の知識人は早くから朝鮮と日本は発展段階において大きな格差があることを認識し、みずから朝鮮の文明開化を先導する産婆役を買って出たのだ。」(P85 夜明けのアジア)

 まさしく「朝鮮の近代化は日韓併合から始まった。」のであります。中国の近代化はアヘン戦争からと同じく、外国の影響がありました。日本統治を筆者は客観的に見据えています。

 日本統治には「良い面もあった」という論の前提には、日韓併合を悪とする考え方があるが、金完燮氏はそもそも合邦自体が悪とは全く考えていません。むしろ「よりましな(ロシアや清国の支配下になるより)選択をしたと言いきっています。                                                           (中略)

 朝鮮人にとって、併合と総督府統治はおおむね広範囲な支持を受けたと考えられる。ポツリポツリと抵抗運動が発生したり、海外で独立運動する人びともいることはいたが、彼らが朝鮮社会の主流とはいえない。当時の朝鮮人は自らのアイデンティティーを、大日本帝国の臣民と規定して満足な生活を営んだと思われる。(P286 )

 司馬遼太郎氏がかつて言われたように、日本の朝鮮と台湾の植民地統治は、欧米諸国のように資源を奪い去り、自国の市場にするだけで、近代化投資はまるでしない収奪だけではなく、逆に地籍調査を行い、農地改革をし、学校を建設し、社会資本を整備し、両国の近代化の基礎をつくりました。

 今の韓国人の多くがヒステリックに叫んでいるように、「日本帝国が植民地支配で韓国から資源を収奪し尽した。」と言う訳ではありません。それは大正時代に経済雄評論家の石橋湛山氏が「朝鮮、台湾の植民地経営の収支は赤字。投資に見合う見返りは乏しい。独立させるべきだ。両国民に感謝されて、交流と交易で経済を発展させるべき。」と「小日本主義」で書いています。

 韓国は朴・クネ前大統領が逮捕・拘留され、来月にも次期大統領が決定します。有力候補は、誤った歴史観を有し、反日をわめきたてる野党の大統領候補が当選しそうです。

 それは日韓両国民には、良い事ではありません。

 2002年に「親日家のための弁明」は、韓国でも発刊されましたが、事実上発禁処分を受け、筆者は様々な妨害や脅迫を受け続けています。しかし筆者が海外体験を経て、独自の世界観を確立し、日韓の歴史を考察し、著作したのが本書です。

 自説を曲げずに堂々としている精神は、高校生時代に軍事政権に対抗し、全羅南道庁舎に立てこもった骨太の精神の持主であると思います。

 朝鮮の植民地支配が全面的に良かったとは私は思いません。父(97歳)も旧制の工業高校を卒業し、朝鮮総督府の鉄道技師としてソウルに勤務していたとか。

 待遇は良く、一軒家が社宅としてあてがわれ、朝鮮人の給仕もいたそうです。普段はかしづいていましたが、父が体調不良になりますと、呼んでも出てこなかったそうです。やはり日本人への反感はあったんでしょう。当時も。

 石橋湛山が主張するように、独立国を促し、友好国として経済発展していただいた方が、両国にとって良かったと思います。

http://dokodemo.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-4775.html

(石橋湛山評論集を読んで(その1)

 「日本憎し」の感情だけで、慰安婦像を日本大使館や領事館前に建てたり、外国でも立てたり、やることなすことが理解できません。彼等は「植民地支配を謝罪しろ」と言いたてていますが、朝鮮近代化の産婆は日本であるという歴史の真実を見ようとしない愚か者たちです。

 慰安婦像の前で騒いでいる韓国の青少年たちは、金 完燮氏の著作「親日派のための弁明」を落ち着いて精読されることをお薦めします。

 なかなか韓国にもしっかりした骨太の社会思想家がおられることは、よろこばしいことと思いました。一読をお薦めします。

 

 

 

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